帝人 産学共同開発の「心・血管修復パッチ」の臨床試験で目標症例数登録完了 下町ロケットのモデル
公開日時 2021/01/28 04:50
帝人は1月27日、大阪医科大、福井経編興業と共同で開発を進める「心・血管修復パッチ OFT-G1(仮称)」の臨床試験で、目標症例数の登録を完了したと発表した。異業種を交えた産学連携の取り組みは、池井戸潤氏の「下町ロケット」で、心臓の人工弁の開発に挑む姿を描いた“ガウディ計画”のモデルにもなっているという。同社は、医療機器として2022年の薬事申請を目指す。
「心・血管修復パッチ OFT-G1」は、大阪医大の心臓血管手術についての知見と、福井経編興業がこれまで衣類や繊維などで培った”編み”の技術(経編技術)、帝人のポリマー解析技術を組み合わせて創出された医療材料。体内に埋め込んだ材料の一部が自己組織と一体化し、身体の成長に合わせて伸長可能な構造を有するのが特徴。先天性心疾患患者の成長に伴う再狭窄や、長期間の留置によるパッチの劣化や石灰化に起因する再手術などのリスク低減につながると期待されている。2018年4月には、先駆け審査指定制度の対象品目に指定されている。
臨床試験に登録された被験者は、0歳児から成人までの幅広い年齢層で、様々な先天性心疾患患者が含まれているという。今回、目標症例数である30例の登録が完了したという。今後、手術後1年間の安全性や有効性のデータについて評価を行った後、製造販売承認の申請に向けて準備を進めるとしている。