アステラス・アムジェン スギノ社長 新薬投入で成長に自信 20年にアムジェン完全子会社に
公開日時 2018/09/25 03:52
アステラス・アムジェン・バイオファーマのスティーブ・スギノ代表取締役社長(アムジェン社ヴァイス・プレジデント)は本誌取材に対し、新薬の投入で、「今後3から5年間は、成長が続く」と自信をみせた。9月21日には、再発・難治性B細胞性急性リンパ性白血病(ALL)治療薬・ビーリンサイトも承認されたが、このほかに国内で14品目の臨床試験を実施・準備中、30の開発候補品の計画が進行中という。2020年に、米・アムジェン社の100%子会社となる“アムジェン・ジャパン(仮称)”として再スタートを切る同社だが、さらなる国内ビジネスでの急成長に自信をみせた。
インタビュー全文は、Monthlyミクス10月号(10月1日発行)で紹介します。
同社は2013年、アムジェン51%、アステラス製薬49%の出資比率で合弁会社として設立された。16年に高コレステロール血症治療薬・レパーサが上市されたほか、6品目が開発中。20年には、全株式を取得し、アムジェンの100%子会社となる予定だ。スギノ社長は、「日本市場の売上は公表していないが、急速にビジネスは成長している。非常に強力な提携先に恵まれたのは幸運だ」との考えを表明。国内売上高は、「18年には17年の2倍、そして19年には3倍に成長すると見込んでいる」と話した。
◎アステラスからの出向者「20年以降も共に仕事を」
今後開発される製品は、20年に独立することから、「アムジェン・ジャパンが開発、販売することになる」(スギノ氏)。こうしたなかで、パイプラインを支える人材の重要性を強調。18年に入り、立ち上げたオンコロジー事業部のメンバーは全員社内から登用したことも紹介した。20年以降、アステラス製薬から出向する社員については選択肢をもつことも明らかにし、「新組織でのオペレーション上欠かせない人たちだ。できればすべての方たちと、20年以降も共に仕事ができれば」と述べた。
◎ビーリンサイト「患者の生活を一変させる治療機会を提供したい」
新薬のビーリンサイトについては、再発・難治性フィラデルフィア染色体陰性B前駆細胞性ALL患者は国内で年間約670例と推定され、治療選択肢も限られていると説明。標準療法である化学療法を対照に、全生存期間(OS)の延長を示したことから、「厳しい状況に置かれている患者にとって、新たな治療選択肢となる」との考えを表明。「患者や患者家族の生活を一変させるような治療の機会を提供したいし、ぜひ人生を謳歌していただきたい」と語った。
◎レパーサ アウトカムデータ公表で手応え ハイリスク群への浸透に期待
レパーサについては、その新規性から、医療機関や医師、患者像などを絞る「最適使用推進ガイドライン」の適用となった。スギノ氏は厳しいスタートとなったことを認めたうえで、「直近の6か月間は非常に勇気づけられることも多かった」との見方を示した。
日本人429例を含む、2万7564例を対象とした大規模心血管アウトカム試験「FOURIER」の結果が公表されたことが大きいと説明。同試験では、スタチンにレパーサを上乗せすることで主要な血管イベントを有意に抑制することが示され、添付文書上にもこの試験結果が追記された。
スギノ氏は、家族性高コレステロール血症だけでなく、心筋梗塞の二次予防などハイリスク群への投与が増加しているとして、「循環器やインターベンション専門医などからハイリスク患者の二次予防で評価されていると手ごたえを感じている」と語った。製品価値を訴求するための環境が整ったことから、「レパーサはまだ上市初期の段階にあると捉えており、さらなる成長に期待している」と述べた。