うつ病は、人類の進化とトレード・オフの関係
公開日時 2015/02/28 00:00
情熱的読書人間榎戸誠うつ病と人類進化『病の起源うつ病と心臓病』(NHK取材班著、宝島社)によれば、うつ病は、人類の進化とトレード・オフの関係にある。先ず、うつ病は「心の病気」ではなく、「脳の病気」だということを頭に入れておこう。そして、うつ病の起源は、何とカンブリア紀まで遡る。最近の研究で、カンブリア紀に登場した、人類の祖先に当たる脊椎動物の魚の原始的な脳に扁桃体が既に誕生していたことが明らかになっている。「当時繁栄していた節足動物との厳しい生存競争が大きな原因」だというのだ。「生存競争と扁桃体―ヒトでは『恐怖や悲しみ、不安』などの感情を産み出す扁桃体だが、もともとは天敵や外部の環境の変化に反応する『危険感知センサー』の役割が始まりだった」。この扁桃体を要とするメカニズムが、皮肉にもうつ病を...