米FDA 黒色腫治療薬MekinistとTafinlar併用を承認
公開日時 2014/01/16 03:50
米食品医薬品局(FDA)は1月10日、切除不能もしくは転移(後期)進行黒色腫治療薬のMekinist(trametinib)についてTafinlar(dabrafenib)との併用を承認した。Mekinist、Tafinlarともに2013年5月に切除不能もしくは転移黒色腫を適応として承認されている。
黒色腫は、皮膚がんでは最も侵襲的なタイプのがんであり、皮膚がんのよる死亡原因のトップである。米国立がん研究所によると、2013年には、76690人が黒色腫と診断され、9480人が黒色腫が原因で死亡すると見込まれる。
MekinistはMEK阻害剤と呼ばれ、TafinlarはBRAF阻害剤と呼ばれる細胞増殖シグナル伝達阻害剤である。MekinistはBRAF V600EおよびV600K遺伝子変異陽性の切除不能もしくは転移黒色腫をターゲットとし、TafinlarはBRAF V600E遺伝子変異陽性の切除不能もしくは転移黒色腫をターゲットとしている。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur血液・腫瘍製品部長は、「MekinistおよびTafinlarは、黒色腫の併用療法としては初めて承認された薬剤となった。この併用療法の開発は、疾患の生物学的パスウェイの深い理解に基づいたものである。この承認は、臨床開発にとって薬剤の併用についての研究を継続する価値を象徴するものだ」と併用療法研究の重要性を強調した。
MekinistのTafinlarとの併用の安全性および有効性は、BRAFV600EおよびV600K遺伝子変異を持つ切除不能もしくは転移黒色腫患者162例を対象とした臨床試験で検証された。患者はMekinistのTafinlarとの併用投与群とTafinlar単剤投与群とに割り付けられた。
MekinistのTafinlarとの併用群では、76%の患者で客観的奏効率(がん縮小および消失)が平均10.5か月延長した。一方、Tafinlar単剤投与群では、54%の患者で客観的奏効率は平均5.6か月だった。MekinistがTafinlarとの併用で生存率を延長するか確認する臨床試験は現在進行中である。
2剤併用における主な副作用は、発熱、疲労感、発疹、悪心、嘔吐、下痢、腹痛、抹消浮腫、咳、頭痛、関節痛、食欲不振など。重篤な副作用では、出血、血栓の形成、心不全、皮膚障害、眼障害など。この併用についての承認は、加速審査で行われた。両剤ともに英グラクソスミスクライン(GSK)社の米法人(ノースカロライナ州リサーチトライアングルパーク)が販売する。
Trametinibは、日本たばこ産業と京都府立医科大学の酒井敏行教授が共同で創製した薬剤で、日本たばこが2006年4月に英GSKに全世界での独占的開発および商業化権を導出した。国内では、日本たばこはコプロモーションの権利を保有している。