米製薬企業 Sunshine Actによる情報収集を開始
公開日時 2013/08/20 03:50
米国で、オバマ大統領のヘルスケア改革法(Patient Protection and Affordable Care Act)に組み込まれた、いわゆるサンシャイン条項(Physician Payments Sunshine Act=Open Payments:医師への支払い情報公開法)は、製薬・医療機器企業に対して、医師および大学病院など教育病院へのすべての物品・金銭の支払い情報データをCMS(メディケア&メディケードサービス庁)に提出するよう求めているが、2014年9月予定の初回公開に合わせた、製薬企業などによる同データについての情報収集が8月1日に開始された。CMSは、サンシャイン条項を略称としてOpen Paymentsと呼んでいる。
Open Paymentsは、オバマヘルスケア改革の一環として、製薬企業などと医師らとの金銭的関係の透明性の確保と適切な利益相反(COI)マネージメントを目的に制定された。同条項は、米国の公的高齢者保険メディケアや低所得者保険メディケードなどで給付される医薬品などを提供する医薬品・医療機器企業が医師および教育病院に提供した物品、飲食接待、コンサルタント料、研究費、講演料、寄付などの金銭的価値すべてをCMSにデータとして報告することを義務付けた。
CMSは、2014年9月に最初のデータ公開を予定しており、製薬企業などが、公開に向けたデータ収集の開始が、今年8月1日だった。CMSへのデータ提出締め切りは2014年3月31日。
米国製薬工業協会(PhRMA)のMatthew Bennett上級副会長は、7月31日、8月1日のデータ収集開始を前にOpen Paymentsの慎重な運用を求める内容の声明を発表した。
同上級副会長は、Open Paymentsが透明性の確保と情報共有という同条項の目的を十分に果たすためには、「慎重な運用が不可欠」と指摘した。そのうえで、8月1日の情報集開始をまえに、企業は、多くの資源を投入、情報内容充実の万全を期したとし、「CMSが2014年9月に情報公開する際には正確なデータであることを保障する」と述べた。
さらに、Bennett上級副会長は、一般国民が医師らと製薬企業などとの金銭的関係が新規治療法や患者ケアに貢献していることが理解できるような状況説明を加えることがOpen Paymentsの成功に不可欠との考えを示した。
同上級副会長は、「たとえば、新薬や改良薬の発見は、医師とバイオ・製薬企業との共同研究に依存している。バイオ・製薬企業がスポンサーとなっている臨床試験は、がんなど生命を脅かす疾患に苦しむ人々に突破口をもたらしてきた」と述べ、さらに、「バイオ・医薬品企業は、医師に最新治療、新適応、緊急安全性リスクなど最新情報を保有させるばかりでなく、医師は、薬剤に対する患者の体験についてバイオ・医薬品の専門家(製薬企業)と共有し、その情報を患者アウトカムの改善に重要なフィードバックをさせる」と両者の協力の必要性を強調した。
そのうえで、「適切な状況説明があれば、患者は、より良い健康、より良い医薬品のために、これらの協力がどのように機能しているのかが分かる」とした。
米医薬経済専門誌「Healthcare Finance News」(7月30日付)は、今回の製薬企業のデータ収集開始にあたっての経費について、CMSの推測を紹介した。
データ収集も社内用のデータではなく、多数のMRが存在し、ブランド製品を多数持っていると当該データを外部用(CMS向け)に加工しなければならず、手間とコストがかかるという。
CMSは、製薬企業(全体)は、初年度、これらのコストが2億6900万ドル、次年度は1億1800万ドルに上るとみている。