新薬13製品が2月26日に薬価基準に収載された。この中で小野薬品が開発したBRAF遺伝子変異悪性黒色腫に対して併用するビラフトビカプセル(エンコラフェニブ)とメクトビ錠(ビニメチニブ)ほか計4製品が即日発売された。また、大塚製薬が開発したアルコール依存症の治療薬で、飲酒量を減らす過程を補助する初めての薬剤であるセリンクロ錠(ナルメフェン塩酸塩水和物)は3月中に発売される予定。
発売日(予定含む)が分かった製品は次のとおり。(カッコ内は成分名、製造販売元)
【2月26日発売】
▽ビラフトビカプセル50mg(エンコラフェニブ、小野薬品)
薬効分類:429(その他の腫瘍用薬(内用薬))
効能・効果:BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫
薬価:50㎎1カプセル3180.70円
▽メクトビ錠15mg(ビニメチニブ、小野薬品)
薬効分類:429(その他の腫瘍用薬(内用薬))
効能・効果:BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫
薬価:15mg1錠4836.80円(1日薬価:29020.80円)
各々の薬剤は、がんの増殖に関与するBRAF(ビラフトビ)、MEK(メクトビ)を阻害し、増殖を抑制するとされる。併用投与することでより強い抗腫瘍効果を期待する。ビラフトビは1回450mgを1日1回。メクトビは1回45mgを1日2回投与する。
▽デムサーカプセル250mg(メチロシン、小野薬品)
薬効分類:219(その他の循環器官用薬(内服薬))
効能・効果:褐色細胞腫のカテコールアミン分泌過剰状態の改善
薬価:250mg1カプセル5853.50円
カテコールアミンの産生に関わるチロシン水酸化酵素を阻害し、カテコールアミンを減少させる新たな作用。治療薬が限られる手術不能例の褐色細胞腫の治療選択肢となる薬剤として期待する。成人、12歳以上の小児には、1日500mgから経口投与する。
▽エプクルーサ配合錠(ソホスブビル/ベルパタスビル、ギリアド・サイエンシズ)
薬効分類:625(抗ウイルス剤(内用薬))
効能・効果:前治療歴を有するC型慢性肝炎、C型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善、C型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善
薬価:1錠60154.50円(1日薬価:60154.50円)
肝移植が最も有効な治療法のC型非代償性肝硬変に対する初の薬剤。ハーボニーなどの直接作用型抗ウイルス薬(DAA)で治療不成功の患者に対する治療選択肢となる。同配合錠は、ソバルディ錠400mgとして承認された核酸型NS5Bポリメラーゼ阻害薬ソホスブビル400mgと、新規有効成分のNS5A阻害薬ベルパタスビル100mgを含有する配合剤。1日1回1錠。
C型非代償性肝硬変に対しては12週間投与で、前治療歴のあるC型慢性肝炎やC型代償性肝硬変に対してはレベトールカプセル(一般名:リバビリン)と併用して24週間投与で用いる。
【3月1日発売】
▽レルミナ錠40mg(レルゴリクス、武田薬品)
薬効分類:249(その他のホルモン剤(高ホルモン剤を含む)(内用薬))
効能・効果:子宮筋腫に基づく諸症状(過多月経、下腹痛、腰痛、貧血)の改善
薬価:40㎎1錠905.70円
1日1回40mgを経口投与のゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)受容体拮抗薬。あすか製薬が販売及びプロモーション活動を行う。
【3月中の発売予定】
▽セリンクロ錠10 mg(ナルメフェン塩酸塩水和物、大塚製薬)
薬効分類:119(その他の中枢神経系用薬(内服薬))
効能・効果:アルコール依存症患者における飲酒量の低減
薬価:10mg1錠296.40円
同剤は飲酒している患者に使う薬剤で、断酒状態で用いる既存のアルコール依存症治療薬とは異なる。アルコール依存症患者が飲酒量を減らす過程を補助する初めての薬剤。中枢神経系に広く存在するオピオイド受容体調節作用を介して飲酒欲求を抑制し、依存症患者の飲酒量を低減させる。
【3月11日発売予定】
▽ビムパットドライシロップ10%(ラコサミド、ユーシービージャパン)
薬効分類:113(抗てんかん剤(内用薬)
効能・効果:てんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)
薬価:10%1g386.20円
小児(4歳以上)適応も持つ。特に小児や嚥下機能が低下している高齢患者などに対する服薬のしやすさを期待する。販売は第一三共。
【3月25日発売予定】
▽ビムパット点滴静注200mg(ラコサミド、ユーシービージャパン)
薬効分類:113(抗てんかん剤(注射薬)
効能・効果:一時的に経口投与ができない患者におけるてんかんの部分発作(二次性全般化発作を含む)の治療に対するラコサミド経口製剤の代替療法
薬価:200mg20mL1瓶4252円
小児(4歳以上)適応も持つ。一時的に経口投与ができない患者に対するラコサミド経口製剤の代替療法に用いる。販売は第一三共。
【4月15日発売予定】
▽タリージェ錠2.5mg(2.5mg1錠)、同錠5mg(5mg1錠)、同錠10mg(10mg1錠)、同錠15mg(15mg1錠)(ミロガバリンベシル酸塩、第一三共)
薬効分類:119(その他の中枢神経系用薬(内用薬))
効能・効果:末梢性神経障害性疼痛
薬価:2.5mg1錠78.00円、5mg1錠107.70円、10mg1錠148.70円、15mg1錠179.60円(1日薬価:446.10円)
電位性カルシウムチャネルを介してカルシウムの流入を減少させることで、痛みに関与する神経伝達物質の過剰な放出を抑制し、効果を発揮すると考えられている。
【5月13日発売予定】
▽ミネブロ錠1.25mg、同錠2.5mg、同錠5mg(エサキセレノン、第一三共)
薬効分類:214(血圧降下剤(内服薬))
効能・効果:高血圧症
薬価:1.25mg1錠46.90円、2.5mg1錠89.90円、5mg1錠134.90円(1日薬価:89.90円)
過剰に活性化することで血圧の上昇が起こるというミネラルコルチコイド受容体に対し、その活性化を阻害することで降圧作用を発揮すると考えられている。2.5mgを1日1回投与。類薬のエプレレノンで投与禁忌とされている患者(中等度腎機能障害合併高血圧症患者、アルブミン尿を有する糖尿病合併高血圧患者)にも投与可能。