英NICEガイダンス案 片頭痛薬Aimovigを非推奨
公開日時 2019/01/16 03:50
英国立医療技術評価機構(NICE)は1月4日、Novartis社の片頭痛予防薬Aimovig(erenumab)について、NHS(国民保健サービス)における使用を推奨しないとする内容のガイダンス案を発表した。同剤は、抗カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)受容体拮抗剤と呼ばれる新規作用機序を持つ片頭痛予防薬。適応は、月に4回以上の発作を起こし、少なくとも3種の予防治療(β遮断薬、抗うつ剤および抗てんかん薬)が奏功しなかった成人における慢性および反復性片頭痛の予防。
NICEは、同剤のエビデンスは同剤が臨床的に有効な治療法であることを示しているものの、費用対効果の観点からは、NICEが常時考慮している閾値よりも高く、エビデンスが他の薬剤やアウトカムとの比較を十分に反映していないことから、非推奨と結論付けた。年間薬剤費は、NICEが推奨した場合には、値引き分を除いて約5000ポンド(70万円;1ポンド=140円換算)になるとしている。
NICEのMeindert Boysen医療技術評価センター(CHTE)長は、erenumabを推奨できなかったのは残念としながら、「同剤はベストサポーティブケアと比較して、臨床的に有効であることを示した片頭痛に対する有望な新規の予防薬である」と評価した。しかし、「すでにNICEが推奨している、慢性片頭痛に対するボツリヌス菌A型より有効であるかを示唆するエビデンスは十分でなかった」と非推奨の理由を話した。
同センター長は、今回のガイダンス案で非推奨となったことに関し、当該企業には同剤推奨にむけて機会が与えられているとして、企業に協力を惜しまない姿勢を示した。
英国では、毎日19万人が片頭痛発作に悩まされている。女性の罹患率は人口の5~25%、男性の罹患率は人口の2~10%程度といわれている。
現在、片頭痛の予防薬としては、β遮断薬、抗うつ剤および抗てんかん薬が使用されているが、病歴の長い患者からは、これら薬剤では重度の副作用発現の可能性があることや患者によっては無効だとの指摘が出ていることにもNICEは言及した。NICEは、同日から同ガイドライン案について意見募集を開始、2019年1月31日に締め切る。