塩野義製薬 認知機能改善薬の開発候補品「BPN14770」を導入 日韓台で独占権
公開日時 2018/12/20 03:50
塩野義製薬は12月19日、米Tetra Discovery Partners社が創製した認知機能を改善するとされる低分子化合物「BPN14770」について、日本、韓国、台湾での独占的開発・製造・販売権を取得する契約を締結したと発表した。開発スケジュールは未定だが、アルツハイマー型認知症と、遺伝子異常による幼少期からの知能の障害などがみられ、治療薬がない「脆弱X症候群」を対象に開発を行う。
この導入は2020年度以降の持続的な成長に向けて、開発候補品の充足や新規技術などに積極的に取り組むために約200億円(18年度)を計上した「戦略的事業投資」の一環。同剤は、記憶形成に関わるとされるPDE4Dを標的にした薬剤で、非臨床試験では、認知機能障害に対する効果が認められた。今回、米Tetra社への出資も行い、資金面から海外開発を後押しする。
海外では、米国ではフェーズ1を終了。Tetra社は現在、FDAからオーファン指定を受けた脆弱X症候群を対象にフェーズ2を進めている。アルツハイマー型認知症に対する試験の実施は未定。
同社によると、複数の他社が同じ作用機序の化合物により「脆弱X症候群」を対象に開発が行ったことがあるが、副作用などの問題から製品化には至らなかった。「BPN14770」は副作用を回避されるよう設計されているという。認知機能低下を伴う学習障害、発達障害、うつ病、統合失調症などに対する効果も期待されているとしている。
塩野義は、ライセンス契約締結に伴う一時金として500万ドル、出資金3500万ドルを支払う。また、開発進展や製品上市後の販売額など1億2000万ドルのほか、販売額に応じたロイヤリティも別途支払う。