厚労省は、12月7日に開催する「医療用医薬品の流通改善に関する懇談会」に、流通改善ガイドラン下における2018年度上期(4~9月)の流通実態を報告する。焦点の一次売差マイナスの改善では、仕切価水準は上昇したが、納入価水準の上昇が上回り、前回薬価改定の16年度と比べマイナス幅は0.7ポイント縮小した。単品単価取引の割合は、これまで60%前後で推移してきたが、80%超と大幅に増加したと説明する。
18年度上期は流通改善上の課題に一定の改善が見られた格好となったが、メーカー、卸の関係者には、下期、消費増税に伴う薬価改定がある来年度と、取引環境は厳しさが増すとの見方が多い。流通改善が難しくなるとみられる中で、7日の会合では、厚労省が重視する川上の仕切価、リベート設定を含め、川下までの流通当事者間で、GLに基づく改善に向けた取り組みをいかに持続的なものにするかが課題となる。
同省の資料によると、18年度上期の仕切価率は87.8%(税抜)で17年度と比べ0.6ポイント増、16年度と比べ0.5ポイント増だった。納入価率は85.6%(同)と、17年度と比べ1.8ポイント増、16年度と比べ1.2ポイント増だった。リベート・アローアンス率(同)は8.0%で、17,年度と比べ0.5ポイント減、16年度と比べ0.1ポイント減だった。納入価水準の上昇で一次売差マイナスが縮小し、改善が図られた形となった。
関係者間では若干の改善との見方が多い単品単価取引の割合は、これまで60%前後で推移していたが、調剤薬局チェーン(20店舗以上)で96.5%、200床以上の病院で84.4%と大幅に増加したという結果を同省は提示する。併せて、納入価率が上昇したことを挙げ、「単品単価契約の割合の上昇とともに、納入価の水準は上昇」との見方まで示す。
「相談窓口」には21件 12件が仕切価関連
流通改善に向けては、前回会合で指摘された仕切価の水準の上昇が問われる形となっている。上期の実態ということもあるが、GLに基づく交渉が行き詰まったケースを相談する場として同省が新設した「相談窓口」に寄せられた事例は21例で、半数以上の12例が「仕切価等の交渉に関するもの」だったとしている。