新薬12製品が11月20日に薬価収載され、ALK阻害剤抵抗性・不耐容の非小細胞肺がんを対象にしたローブレナ錠など3製品が即日発売された。ローブレナ錠は、ファイザーが開発した新薬で、既存のALK阻害剤で耐性を持ち、効果が得られなくなった患者にも効果が期待される。厚労省の「条件付き早期承認制度」の適用を受け、約8か月で承認に至った。ファイザーが販売する。
薬価収載された製品(関連記事)のうち発売日が分かったのは以下のとおり(カッコ内は一般名、製造販売元)。
【11月20日発売】
▽ローブレナ錠25mg、同錠100mg(ロルラチニブ、ファイザー)
薬効分類:429(その他の腫瘍用薬)
効能・効果:ALKチロシンキナーゼ阻害剤に抵抗性または不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん
薬価:25mg1錠 7216.40円/100mg1錠 2万5961.00円
(1日薬価:2万5961.00円)
非小細胞肺がん患者のうちALK陽性は3~5%で、それら患者に対する治療薬は3製品ある。ローブレナは、それらALK阻害剤が効かなくなった患者の腫瘍に生じた変異(耐性変異)を解明することにより創製された薬剤。1日1回100mgを経口投与。
重篤で有効な治療方法が乏しいこの疾患に対し、日本も参加した国際共同第1/2試験で一定程度の有効性と安全性が確認されたことから、早期に実用化を後押しする「条件付き早期承認制度」が適用された第1号製品。製造販売後に全例調査や市販後直後調査など、有効性・安全性の再確認等のために必要な調査等を実施することなどが条件となった。
▽フィラジル皮下注30mgシリンジ(イカチバント酢酸塩、シャイアー・ジャパン)
薬効分類:449(その他のアレルギー用薬)
効能・効果:遺伝性血管性浮腫の急性発作
薬価:30mg3mL1筒 30万1704円(1日薬価:30万1704円)
遺伝性血管性浮腫は、突然、顔や唇、手足、消化器などのさまざまな部位で腫れやむくんで変形したり身動きができないほど激しい痛みが起きたりする遺伝性疾患で、喉が腫れると呼吸困難や窒息するおそれがある。そのため、その場で治療できる薬剤が望まれており、今回発売されたこの薬剤は皮下注製剤で、自己注射により早期治療を可能にするよう設計された。これまでと薬剤作用が異なり、急性発作に関与するブラジキニンの作用を、この薬剤のブラジキニン受容体拮抗作用で症状を緩和する。プレフィルドシリンジ製剤で、1回30mg。
シャイアーの発表によると、罹患率は5万人に1人で、国内推定患者数は2500人だが、実際に治療している患者は450人程度という。
▽トラディアンス配合錠AP、同配合錠BP(エンパグリフロジン/リナグリプチン、日本ベーリンガーインゲルハイム)
薬効分類:396(糖尿病用剤)
効能・効果:2型糖尿病(ただし、エンパグリフロジン及びリナグリプチンの併用による治療が適切と判断される場合に限る)
薬価:AP1錠 283.30円/BP1錠 395.60円
DPP-4阻害薬トラゼンタ錠(リナグリプチン)とSGLT2阻害薬ジャディアンス錠(エンパグリフロジン)を配合した製剤。配合量はリナグリプチン5mgに、AP錠はエンパグリフロジン10mg、BP錠はエンパグリフロジン25mg。1日1回1錠。
日本ベーリンガーインゲルハイムが製造、販売し、日本イーライリリーと共同販促する。14日処方制限なし。DPP-4阻害薬とSGLT2阻害薬の配合剤は、カナリア、スージャヌに続く3製品目。
【11月27日発売】
▽ベオーバ錠50 mg(ビベグロン、杏林製薬)
薬効分類:259(その他の泌尿器生殖器官及び肛門用薬)
効能・効果:過活動膀胱における尿意切迫感、頻尿及び切迫性尿失禁
薬価:50mg1錠 185.70円(1日薬価:185.70円)
膀胱のβ3受容体に作用し、膀胱弛緩作用で症状を改善する選択的β3アドレナリン受容体作動薬。1回50mg、1日1回投与。米メルクが創製し、杏林が日本での独占的開発・製造販売権を取得し、キッセイ薬品と共同開発した。杏林製薬とキッセイ薬品が同一製品名で共同販売する。