厚労省 あすか製薬のバルサルタンの原薬に対する健康影響評価を事務連絡 発がん性物質検出で
公開日時 2018/10/09 03:50
厚労省医薬・生活衛生局の医薬安全対策課と監視指導・麻薬対策課は10月5日、あすか製薬が製造販売する降圧薬バルサルタン錠「AA」の原薬から発がん性物質が検出された問題で、服用による健康影響評価について、「混入濃度の高い原薬から製造された 160mg錠(最大用量)を販売期間の4年間毎日1錠服用したときの発がんリスクは、1・5万人から3万人に1人が生涯その暴露により過剰にがんを発症する程度のリスク」との結果を都道府県に事務連絡した。これら評価結果は、服用患者に情報提供されるよう、あすか製薬から関係医療機関等に文書で周知することになった。
原薬は、中国の「Zhejiang Huahai Pharmaceutical」で製造されたもので、発がん性があるとされる「N‐ニトロソジメチルアミン」(NDMA)が検出されたとして、あすか製薬は7月、バルサルタン錠「AA」の全ロットを対象に自主回収した。その後、国立医薬品食品衛生研究所が服用による健康影響評価を行った。
今回の事務連絡は、9月25日に行われた厚労省の薬食審・医薬品等安全対策部会安全対策調査会で審議された結果を伝えるもの。評価途中で新たな発がん性物質「N‐ニトロソジエチルアミン」(NDEA)も検出されたが、「微量であり、NDEA の含量を合算しても(NDMAの)健康への影響評価の結果に影響するとは考え難い」とした。
日本国内でNDMA、NDEAが検出されたバルサルタン製剤は、あすか製薬のバルサルタン錠「AA」のみ。この間の同剤の処方患者数は、発売された14年6月から16年3月までに約1・9万人(ナショナルデータベース)。同剤は不採算等の理由で17年6月に販売中止、18年4月に薬価削除、同年6月に承認整理となっている。
なお、NDMAは、バルサルタンの原薬の合成過程で副生成物として生成されたと推定されている。