大日本住友 社長に野村専務が昇格 4月1日付 国内は製品導入とMR生産性向上に注力
公開日時 2018/02/26 03:50
大日本住友製薬は2月23日、代表取締役専務執行役員の野村博氏(写真右)が代表取締役社長に昇格すると発表した。現社長の多田正世氏(写真左)は代表取締役会長に異動する。4月1日付。17年度で中期経営計画が終わり、多田氏が08年の社長就任から10年の区切りを迎えることから、18年度以降の成長戦略を新たな経営体制の下で実施することにした。野村次期社長は同日に東京都内で行った記者会見で、4月から日本事業戦略に特化したプロジェクトを立ち上げることを表明。国内事業については製品導入とMRの生産性向上に注力する姿勢を示した。
2トップ体制となるが、基本的には多田氏は経営の監督を行い、野村氏がいわゆるCEOの役割を担う。同氏は、大日本住友製薬の合併や米セプラコール社の買収、経営立て直しなどに携わり、現在の同社の経営体制を構築した立役者の1人。野村氏は、取締役会の諮問機関で社外取締役が入る指名報酬委員会で選出されたという。会見に出席した多田社長によると、複数の案を提示し1年半にわたり検討してきた。社長就任時に野村氏が執行役員となり、現在の海外を含む事業の基礎を作った人物で「(野村氏は)10年間、最も信頼できる同僚として仕事をしてきた」と説明した。
今後の事業展開について23日の会見で野村氏は「グローバル化は継承する。日本、北米、中国が中心的な領域であり、投資の観点からは北米が優先的な地域になる。しかし、日本はマザーマーケットなので、しっかり我々の存在感を出していきたい」と説明。日本事業については、新薬の乏しさや事業環境の厳しさから「ここを何とかしっかりした基盤をつくりあげることが喫緊の課題」と指摘した。
そのため「4月からジャパンビジネスユニットというバーチャルな組織で、日本固有の問題について戦略的な経営計画を立てて実行する体制を進めていく」との考えを表明した。国内で取り組み必要性が高い課題について、新薬数が十分ではないことを挙げ「研究から上げていくのが一番いいが、短い時間に対策をするなら導入。導入活動に力を入れたい」とした。営業面については、早期退職などでMR数を減らしたことから「1人当たりの生産性を高めることが重要なポイントになる」との認識を示し、それにより現有製品のポテンシャルの最大化につなげたいとした。
医薬品以外のヘルスケア事業を検討 「第4の柱」に
また野村氏は会見で、重点領域の精神神経、がん、再生・細胞治療の強化とともに、医薬品以外の周辺のヘルスケア事業の立ち上げを検討し「将来の収益の柱にすることを考えていきたい」との考えも明らかにした。重点領域とシナジーがあるものなどを想定するが、具体的には社内の意見を募るなどして検討していくとしている。
野村氏は1957年8月生まれ60歳。1981年3月に東京大学経済学部を卒業し、同年に住友化学工業(現 住友化学)に入社。2003年12月に当時の住友製薬に出向し、05年の大日本住友製薬発足後も、08年6月に執行役となり、経営企画部長兼経理、IT企画推進担当となった。その後、欧米事業統括部長や営業本部副本部長を経て、12年にはSunovion社のExecutive
Vice President 、CFOを務めた。14年4月に取締役常務執行役員となり、事業戦略や渉外統括、秘書、経理、再生・細胞医薬事業推進の担当を担い、16年4月に取締役専務執行役員、17年4月に代表取締役専務執行役員となり、経営企画、渉外、秘書、人事、経理を担当している。