協和キリン 宮本取締役が代表取締役社長・COOに昇格内定 グローバル本格展開狙い
公開日時 2017/12/25 03:52
協和発酵キリンは12月22日、取締役・常務執行役員経営戦略企画部長の宮本昌志氏(写真左)が代表取締役社長・COO(最高執行責任者)に内定したと発表した。現社長の花井陳雄氏(写真右)は代表取締役会長・CEO(最高経営責任者)に異動する。3月の定時株主総会、取締役会を経て正式決定する。宮本氏は、同社が目指してきた医薬事業のグローバル展開の本格化に向けかじ取りする。花井社長によると、宮本氏は次期CEOを見込み指名されている。
同社の中期経営計画は2020年までだが、2018年中に欧米で自社創製のグローバル戦略品と位置づける新薬が自社で販売できる見通しになり、目標としてきた「グローバル・スペシャリティファーマ」(GSP)の実行段階に入ることから、いま経営体制を見直す必要があると判断した。具体的には、小児X染色体遺伝性低リン血症治療薬brosumab(「KRN23」)が2018年に上市見込み、皮膚T細胞性リンパ腫治療薬モガムリズマブ(「KW-0761」)も後期開発が順調に進んでいる。それらでグローバル展開の本格化につなげるため、花井氏がバイオケミカル事業を含むグループの経営基盤強化を担い、宮本氏が医薬事業を執行するCEO・COO体制で臨むことにした。その中で宮本氏は、開発を含め製品戦略や経営企画の経験が豊富で、リーダーシップがあると評価され、社長に指名されたという。
宮本氏は、同日に東京都内で記者会見し、「自社創薬の新薬2品目が欧米で自社販売できる目途が立ってきている。一方で世界的な医療費抑制の圧力が高まり、日本でも大変厳しい薬価制度が実施される導入されようとしている。このように会社が大きく変化することが予想され、また設立10周年の節目の年で社長、COOを拝命し、身の引き締まる思い」と述べた上で、GSPの実現を通じ「長期的に成長をし続ける礎を築く」と抱負を語った。
GSPの実行段階に入るという時に足元の日本では薬価制度改革となるが、国内事業の課題については「基本的には前と変わらず、画期的新薬を開発し、いかに届けるかだ。一方、薬価制度については骨子が見えてきたばかりで、社内で分析を進めているフェーズ」と述べるにとどまった。中計中の交代となったが、中計見直しについて花井社長は「現時点では全く考えてない」と話した。
宮本氏は、1959年7月生まれ58歳。1985年に東京大学大学院薬学系研究科修士課程修了し、同年キリンビール入社。一貫して医薬事業で業務を行い、プロダクト企画、マーケティング、経営企画、薬事などの部門を経て、2014年7月に協和発酵キリン執行役員製品ポートフォリオ戦略部長、17年4月から現職。