米FDA ハーセプチンのBSを承認
公開日時 2017/12/05 03:50
米食品医薬品局(FDA)は12月1日、分子標的抗がん剤Herceptin(トラスツズマブ)のバイオシミラー(BS:バイオ後続品)であるMylan社のOgivri(トラスツズマブ-dkst)を承認した。米国では今年9月に承認されたAvastin(ベバシズマブ)のBSに次ぎ、抗がん剤では2番目のBSとなった。
適応症は、HER2遺伝子過剰発現の乳がんおよび転移胃がん。先発品であるHerceptin(日本製品名:ハーセプチン)は、スイス・ロシュ社グループ・ジェネンテク社の製品で、1998年9月に承認されている。同剤の添付文書には、Herceptinと同様に、医療従事者および患者に対して、服用により心筋症、肺毒性など重篤な副作用発現の可能性を高めることが枠組み警告として記載された。
FDAのScott Gottlieb長官は、「FDAは、医療費の削減を可能にする競争を促進するのに役立つBSの承認数を増やし続ける考えだ。このことは、患者の負担が非常に大きくなるようながんのような疾患では大事である」と述べたうえで、「我々は、BS承認パスウェイを前進させるために新たな取り組みをし、生物製剤の競争を促進させる」と今後のBS承認加速化への意欲を示した。
FDAは、新薬承認の場合通常、医薬品評価研究センター(CDER)あるいは生物製剤評価研究センター(CBER)などの部長クラスのコメントを発表するが、今回、ベバシズマブのBS承認の際と同様に、長官がコメントを発表し、BS普及への意欲を改めて内外に示したものといえそうだ。
Mylan社のHeather Bresch CEOは、「Ogivriの承認は、BSへの患者アクセスを改善させ、米国のヘルスケア制度にかなりの節減をもたらすという記念すべき功績を上げたことを意味する」と述べたうえで、「Ogivriは、我々の豊富なパイプラインのなかで、今後数年間のうちに上市したいと考えているBSのうちの1つだ」とコメントした。
同社のRajiv Malik社長は、「我々は、Ogivriの承認取得をしたことを誇りに思う。この承認は、我々の科学チームの力とBSのように製造することが難しい複雑な製品についての科学プログラムを遂行する力を浮き彫りにするものだ」と自負した