田村元厚労相 18年度診療報酬改定「本体プラス」に意欲 薬価の全品目毎年改定には反対

公開日時 2017/11/10 03:52
  • Twitter
  • 印刷

田村憲久元厚労相は11月9日の卸連のセミナーで講演し、焦点の2018年度診療報酬改定について、今後の政府・与党調整を通じ「本体プラス改定」に持ち込む決意を表明した。医療崩壊を防ぐためにも、「診療報酬の本体マイナスはあり得ない」と意欲を示し、財務省が一定程度の本体マイナス改定を主張していることに対し、年末の予算編成過程の政治舞台で迎え撃つ姿勢を鮮明にした。一方、薬価の毎年改定については、全品目を対象とすることに否定的な見解を示した。


安倍政権が2020年までの財政健全化を掲げる中で、社会保障費を6300億円から医療費の伸びに相当する5000億円まで抑制することは必須。1300億円超の圧縮財源の確保をめぐり早くも薬価を深掘る圧力が強まってきた。この日の田村元厚労相の講演は、先の衆院総選挙で与党自民党が圧勝したことを受け、主催者の卸連に謝辞を述べるところから始まった。


田村元厚労相は、「日本の財政が厳しすぎる」との認識を示し、18年度改定に際しては、「薬価差を抜いて、診療報酬本体でプラスをどう維持するか」との問題意識を表明した。安倍首相が経済財政諮問会議の席上、来春の労使交渉で3%の賃上げを企業に求めたことに絡めながら、これを診療報酬に置き換えれば、「本体1.4%程度診療報酬を上げないと、生産性が上がらない限り、収益はマイナスになってしまう」と指摘。医療機関経営が厳しい中で、「本体マイナスは絶対にあり得ない」と強調した。


18年度薬価・診療報酬改定をめぐる議論は12月下旬の予算編成作業に向けて、政府・与党間の折衝が今後活発化する。18年度予算編成の焦点となる社会保障費の自然増圧縮については、市場実勢価格に基づく通常改定に市場拡大再算定や新薬創出加算の対象品目の絞り込みなどの深堀分を加えて、1300億円相当の引き下げを財政当局が求めている。これに対し田村元厚労相は、17年度から導入された高額療養費の負担引上げや、後期高齢者の保険料軽減特例の見直し、介護保険の総報酬割などで捻出した財源をこれに充当するなど、検討に着手していることを明らかにした。そのほか、保育所整備や高等教育の無償化などで国費ベース500億円相当の追加財源が求められることについては、「診療報酬改定に迷惑をかけたくないということで、ない知恵を絞りながらやっている」と説明した。


◎薬価制度改革「どれも厳しい」


薬価制度改革について田村元厚労相は、薬価の毎年改定や新薬創出・適応外薬解消等促進加算の抜本的な見直しなどの議論が進むが、「どれも厳しい」との見方を連発。薬剤費の伸びが医療費を押し上げたことや、抗がん剤・オプジーボの特例的な引下げで財源が確保された経緯などが、現在進められている薬価制度の抜本改革につながったとの見方を示した。その上で、「医療経済にお金が回るようにしなければ、医療機関が持たない。薬だけの問題ではない。医療界全体にかかわってくる問題だ」と強調。現在の薬価制度については、「見直しがマストであるならば、医療を維持できるような見直しにしていかないと大変なことになる」と危機感をあらわにした。


薬価の毎年改定については、薬価調査を毎年実施することについてのコンセンサスは得られたが、改定については議論となっているとした。その上で、薬価差が医療機関の経営原資になっており、現行の診療報酬制度では医療機関経営が立ち行かないと指摘。薬価の毎年改定を全品目で行った場合を仮定し、「製薬メーカーもだんだん薬価差を出せなくなる。卸も泣けなくなる」と述べ、患者負担は減る一方で、医療機関とメーカー、卸の3者間で、「弱いところから倒れだす」との強い懸念を表明。「ドラスティックな制度改革をすれば、医療が崩壊するのを早めるだけだ」と警鐘を鳴らした。


◎新薬創出加算 革新性・有用性に応じた薬価引下げ案も


新薬創出創出加算については、ドラッグ・ラグの解消や研究開発の投資の拡大などの利点があったと説明。一方で、「今の制度自体が甘すぎるのではないか」と指摘した。乖離率が平均乖離率以下であることが品目要件であったために見直しが進められている。革新性や有用性に応じた品目の絞り込みに加え、新たな案として革新性や有用性に応じて薬価を引き下げるなどの案が検討されていることを明らかにした。ただ、「有用性や革新性が何か、ということは具体的にはわかっていない」とし、自民党内でもこうした議論が進んでいるとした。田村元厚労相は、「薬価の毎年改定と、新薬祖出加算の見直し案が、医療にどう影響を与えているかということを予想した上で、制度設計をしないと大変なことになる」と述べた。一方、長期収載品については、Z2の拡大などの議論が進む可能性を示唆した。

 

 

関連ファイル

関連するファイルはありません。

 

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(7)

1 2 3 4 5
悪い   良い

 

 

広告

広告

広告

広告

広告

広告

市場に密着した医薬情報&マーケティング誌

 

11月号特集
(Promotion)

サイエンスベースの安全対策

RWDの利活用で生産性向上を実現

 

 

11/1発行

 

ミクス編集部のtwitter

 

ミクスOnlineのモバイルサイトは下記QRコードよりアクセスしてください

QRコード

http://mobile.mixonline.jp/