エーザイ 抗がん剤レンビマ 日本で肝細胞がんの適応追加を申請
公開日時 2017/06/26 03:52
エーザイは6月23日、自社創製の抗がん剤レンビマカプセル(一般名:レンバチニブメシル酸塩)について、日本で肝細胞がんの適応追加を申請したと発表した。申請は同日付。今回の肝細胞がんの適応追加申請は世界に先駆けたもので、17年度上期に欧米で、17年度中に中国で申請予定としている。
日本での今回の申請は、全身化学療法歴のない切除不能な肝細胞がん患者954人を対象とした、レンビマと標準治療薬ソラフェニブとの有効性・安全性を比較する多施設共同、非盲検、無作為化グローバルフェーズ3試験(304試験)の結果に基づく。
304試験では、主要評価項目を全生存期間(OS)とし、非劣性の検証を目的とした。その結果、OSはレンビマ群が13.6カ月(中央値)、ソラフェニブ群が12.3カ月(同)で、統計学的に非劣性が証明され(ハザード比0.92(95%信頼区間:CI=0.79-1.06)、主要評価項目を達成した。同社は、「レンビマは、ソラフェニブの肝細胞がんに係る適応の承認以降、約10年間で初めて同剤に対して統計学的な非劣性を証明した」としている。
副次評価項目の無増悪生存期間(PFS)、無増悪期間(TTP)の中央値および奏効率(ORR)では、レンビマはソラフェニブに対してそれぞれ2倍以上にするなどし、同社は「統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示した」としている。
レンビマ投与で確認された有害事象(上位5つ)は高血圧、下痢、食欲減退、体重減少、疲労――で、これまでに認められた安全性プロファイルと同様だったとしている。
肝細胞がんは肝がん全体の約85~90%を占め、日本の肝細胞がん患者数は約4万2000人、年間死亡数は約2万6000人と報告されている。切除不能な肝細胞がんは治療方法が限られ、予後が極めて悪くアンメット・メディカル・ニーズの高い。
レンビマは経口投与可能な新規結合型チロシンキナーゼ阻害薬。日本では根治切除不能な甲状腺がんの適応で15年5月に発売された。