大日本住友・16年度決算 国内3.9%減収 長期品等100億円減収を吸収できず
公開日時 2017/05/12 03:50
大日本住友製薬は5月11日、2017年3月期(16年度)決算を発表し、日本事業では、薬価改定の影響と長期収載品の売上減を、降圧配合剤アイミクスなど戦略3製品の売上の伸びで吸収できず、売上高は1408億円、前年同期より3.9%減となった。セグメント利益は383億円、7.7%減だった。
日本事業の製品売上高をみると、アイミクス、抗精神病薬ロナセン、抗パーキンソン病薬トレリーフは、それぞれ前年同期より売上を伸ばし、戦略3製品合計で450億円で10.8%増だった。しかし、その他の長期収載品などの製品売上は958億円、9.5%減。戦略品は44億円伸ばしたものの、長期収載品等は100億円減らしたため減収となった。
全世界では、北米での抗精神病薬ラツーダなどの新製品の売上の伸びがあり、売上高は2.1%増、純利益は17.4%増だった。利益面では、増収に加え、原価率の低下や販管費削減のほか、外貨建て資産の円換算による為替差益などにより、100億円余りを計上した早期退職制度実施に伴う特別損失を吸収して大幅増益となった。
17年度通期予想は、日本事業では戦略3製品の堅調な伸びを見込むものの、後発医薬品の登場が予想される降圧薬アバプロの売上を約2割減としたことなどで、1.2%の減収、セグメント利益も1.3%減を計画した。全世界では、伸び悩む日本市場を好調な北米市場がカバーすることで増収増益を見込む。17年度が最終年度の中期経営計画の目標売上高4400億円、営業利益500億円を上回る見通しを立てた。
ロナセンなど戦略品のAG化検討
16年12月に事業を開始したオーソライズド・ジェネリック(AG)を中心にプロモーションする子会社DSファーマプロモの業績は開示しなかったが、11日の決算発表会見で大日本住友製薬の多田正世社長は、2019年にも後発医薬品の登場が予想されるロナセンなど戦略品についてAG化を検討し、DSファーマプロモを通じた販売が視野にあることを明らかにした。長期収載品事業の譲渡については「今の時点では切り離してどこかに売るという判断はしてない」と述べた。
【16年度連結業績(前年同期比)17年度予想(前年同期比)】
売上高 4116億3800万円(2.1%増)4500億円(9.3%増)
営業利益 527億5900万円(42.9%増)550億円(4.2%増)
純利益 289億9100万円(17.4%増)360億円(24.2%増)
【16年度国内主要製品売上高(前年同期実績)17年度予想、億円】
アイミクス 171(149)175
ロナセン 128(126)132
トレリーフ 151(131)160
(以上戦略品)
アバプロ 103(108)80
シュアポスト 43(36)53
アンビゾーム 44(43)45
リプレガル 107(102)113
メトグルコ 112(147)113
アムロジン 130(164)106
ガスモチン 60(84)50
プロレナール 65(87)51
メロペン 43(62)41