【World Topics】トランプ大統領、オバマケア廃案を宣言
公開日時 2017/05/09 03:50
トランプ大統領は、5月4日ホワイトハウスのローズガーデンで、共和党提案の医療保険改革法案 American Health Care Act の下院通過を祝うスピーチを行い、「(AHAは)言うまでもなく、オバマケアの廃案・差し替えだ(repeal and replace Obamacare)」と宣言した。
さらに続けて「これでオバマケアの間違いが正せる。すぐに保険料(premium)は下がり、また免責型自己負担(deductible)も下がるから、国民はこれを実感できるだろう」と繰り返し語った。
「クリントン政権はヒラリーの努力にもかかわらず医療保険改革を成立させることができず、オバマ大統領はオバマケアを成立させたが、そのために17ヶ月も要した」と語り、 さらに続けて、「今回、共和党は民主党からの支持 が一切なかったにもかかわらず、(法案成立に)たった8週間しかかからなかった」と誇らしげに述べた。だが、 正確には、AHAが法案として成立するには、今後、上院での審議と採択が必要であり、その後、上下両院で採択された法案に大統領が署名して初めて法案成立と運びである。
AHAの成立で国民の保険料(premium)および免責型自己負担(deductible)の負担が低下するか否かについては、たとえば医療政策分析で定評のあるカイザー財団が州ごと、加入者の年齢ごとに精緻に分析・予測しているところによれば、AHA下ではオバマケア下よりも、より高額所得者層で保険料負担が低下し、低所得者層では保険料負担が上昇する見通しである。(医療ジャーナリスト 西村由美子)
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