自民党・GE議連発足 80%時代の産業の「将来の姿」明確化 海外展開も視野
公開日時 2017/04/26 03:50
自民党の議員連盟「ジェネリック医薬品の将来を考える会」(上川陽子議員)が4月25日に設立総会を開き、発足した。上川議連会長は総会冒頭の挨拶で、後発医薬品80%時代が迫る中で、国民にとって安定供給や品質の確保を維持することの重要性を強調し、「支える産業、制度を安定したものにしていかなければならない」と述べた。議連では、産業の体質強化と改革の方向性について議論を重ね、業界の将来ビジョンを打ち立てていく考え。特に、「海外、とりわけアジアの国々でも日本の貢献という形で活躍していただきたい」と上川会長は述べ、海外展開も視野に入れる必要性を指摘した。5月中に、ジェネリック医薬品企業や薬局、医療現場関係者からのヒアリングを集中的に行い、それを踏まえた意見書を取りまとめる方針。
後発医薬品市場では、生活習慣病治療薬などブロックバスターの特許切れ後、数十種類の製品が一挙に参入。熾烈な価格競争が巻き起こる中で大幅な値引きが起き、結果として市場を撤退する製品が登場するなど、安定供給への懸念が示されてきた。この背景には、市場規模は医療用医薬品全体の1割弱にとどまるにもかかわらず、200社近い企業が市場参入していることや、原薬や原料化合物への安定提起な確保などの課題がある。
◎1~9品目収載がジェネリックメーカーの半数占める
この日の初会合で厚労省医政局の大西友弘経済課長は、国内のジェネリック医薬品メーカー196社のうち、1~9品目を収載している企業が半数の96社にのぼるとのデータを示した。大西課長は、「もともと収載している数が少ない会社もあるが、先発メーカーが1品目だけ後発品をもっている、ジェネリックでない兼業メーカーも入っている」と説明した。一方で、500品目以上を揃えるのは3社(東和薬品、沢井製薬、日医工)、300~499品目も3社(武田テバファーマ、ニプロ、共和薬品)だ。大手ジェネリック専業メーカー1社当たりの売上高も大手新薬メーカーの10分の1程度にとどまる。
この日出席した議員からは、「海外に展開するにあたって主な課題、障壁がどこにあるのか」、「特許制度の問題点はどこにあるのか」などの声があがった。また、現在の後発医薬品の数値目標は数量ベースではあるが、金額ベースでの目標設定の必要性を指摘する声もあがった。
◎上川会長「成長産業にふさわしい政策立案目指す」 骨太へ提言
上川会長は、後発医薬品メーカーの実態が様々であるとした上で、「(後発メーカーの)産業側は変化が大きい。新しいミッションを作っていくと力が結集する。80%の目標に応じて産業界にも育っていただかないといけない。海外進出も見据える必要がある」と述べた。数量ベースでは使用浸透が進むものの、金額ベースでの使用が十分に進んでいない実態にも触れ、「流通面やコスト面など、様々な形でフォローしていかないといけない。成長産業にしていくのにふさわしい形での制度、流通の仕組みを含めて政策を作り、ビジョンづくりに提言できればと考えている」と述べた。
6月には骨太方針が策定され、後発医薬品80%目標達成時期も明記されることになる。上川会長は、「まだ産声をあげたばかりの新しい議連で骨太にひとつでもふたつでもアクションプランを打ち出せればと大きなチャレンジをしていきたい」と意欲をみせた。
同議連の顧問には、鴨下一郎議員、鈴木俊一議員、武見敬三議員、田村憲久元厚労相が就いた。