諮問会議・骨太方針2017策定へ議論スタート データヘルス改革推進で徹底的な効率化実現
公開日時 2017/03/31 03:51
政府の経済財政諮問会議(議長・安倍晋三首相)は3月30日、AI・IoTを利活用した健康・長寿社会の実現に向けた重点施策を「骨太方針2017」に盛り込む方向で議論を開始した。高齢化の進展に伴って社会保障の“徹底した効率化”実現が求められる中で、塩崎恭久厚労相は、健康医療データやAIを活用し、「データヘルス改革を推進していく」考えを表明した。また、アウトカムを意識し、予防などを通じて健康意識の高い社会の基盤構築を目指す。骨太方針2017は6月の閣議決定を目指す。
この日の諮問会議に民間議員は骨太方針に盛り込むべき重点課題を明示した。このうち社会保障関係では、薬価制度の抜本改革や、インセンティブ改革への取組強化、診療報酬・介護報酬の同時改定に向けた基本的考え方、改革工程表に掲げた44項目の完全実行などを盛り込んだ。データヘルスを活用し、見える化を進めることで、効率化を推進する考え。
◎予防に力 医療・介護をアウトカム重視のサービスに転換
また、予防やターミナルケアを強化し、医療・介護サービスをアウトカム重視のサービスへと転換することを掲げた。60 歳以上の高齢者への肺炎ワクチンの推奨や、要支援に陥るリスクの高い高齢者の体操への参加をあげ、予防に力を入れることで、国民の健康増進への意識を高めることの重要性を強調した。疾患の重症化や疾患の発症を未然に食い止めることで、国民のQOLを向上させ、高齢者であっても現役で働く“生涯現役”の社会を実現する考えだ。高齢化が進む中で、支え手となる健康な高齢者を増やし、生産性が向上することにも期待がかかる。高齢者でも健康に生活できる社会を実現することで、結果的に医療費の抑制につながることも視野に入れる。
世耕弘成経産相も、「社会保障改革も重要だ」と諮問会議の場で述べた。経産省は、従業員の健康に配慮することで経営面でも成果を期待する“健康経営”の推進に力を入れる。事業者と健康保険組合などがデータヘルスを活用し、AIやIoTも活用した健康増進プログラムの構築などを活用する考え。労働人口の高齢化が進む中で、健康経営に力を入れることで、生産性向上に寄与する絵を描く。
高齢化が進む中で、社会保障費は3年間で1兆5000億円に抑制することが求められる中で、社会保障費の効率化を行う一方で、予防をはじめとした非社会保障のウエイトを高める。
そのほか、イノベーション創出の重要性を強調。先端技術やバイオ分野などの研究開発投資の活性化なども盛り込んだ。