メディセオ 埼玉に新物流拠点 GEなど物量増でも管理コスト抑制 自動化徹底で
公開日時 2017/02/06 03:50
メディセオは2月3日、医療施設から受注し直接配送できる物流センター「ALC」(エリア・ロジスティクス・センター)を埼玉県三郷市内に竣工した。入荷から出庫、配送までの業務の自動化を徹底したのが特徴。大きな課題となっている後発医薬品(GE)の物量の急増による管理コスト増に対し、同ALCは業務の自動化で管理コストの増加を抑える設計をしてある。それによりGE80%時代の物流環境に備える。3月から順次稼働する。
竣工したのは「埼玉ALC」。メディパルホールディングス(HD)としては、アトルが2016年6月に初めて竣工した次世代型ALCと同様のコンセプトを持つ。埼玉県、栃木県、群馬県、千葉県(一部)東京都(一部、新潟県)をカバーし、約2万軒の顧客が対象。グループとして8拠点目となるALCの中では、投資額約235億円、延床面積5万4963m2、最大出荷金額約5500億円(稼働当初は約3500億円)という規模は過去最大という。最初の次世代型である「福岡ALC」の約2倍の規模になる。
メディセオの長福恭弘社長(写真左)は3日、埼玉ALC内で会見し、「昨今人材の雇用が難しくなる中で、人手を少なくすることで、コストを抑え、効率よい供給が実現できる。出荷能力は1時間あたり従来型ALCの5倍。(後発医薬品の普及により)卸売は、売上が伸びない中で物量が増えるという頭の痛い状態にある。ALCのコンセプトである物量が増えてもコストが上がらない仕組みで供給していかないと安定的に継続的に経営ができない」と述べ、医療環境、市場環境の変化でALCの機能が不可欠であることを強調した。
薬・材料・検査薬を一括配送 新たに機器の点検・修理機能併設
また、医療現場で必要な製品をワンストップで対応できるよう、医薬品、医療機器・材料、検査薬を一括受注・配送できるのも次世代型ALCの特徴。加えて、今回新たに、メディセオ子会社の医療機器卸MMコーポレーションの支店をセンター内に設置。医療機器の保守点検・修理、院内物流支援の機能を併設し、ALCの特色である顧客との近さを生かしたサービスを行えるようにした。
今回、MMコーポレーションの支店をセンター内に設置し、サービス体制を整備したことについて高橋一巳社長(写真右)は会見で、「地域医療連携、病院の方向性が変化する中で、我々に何ができるかを考えた時にALCの方向に合った」と述べ、顧客との近さの中でサービス展開できる意義を説明。今後については「我々が機能を一体化するには、1年半くらいはかかる。その間にも双方が営業活動をしており、クロスするところもある。そこに我々の営業部隊がどう動けるのか、ロジスティクスをどうバックアップできるのか1年半で検討したい」と述べ、メディセオとの協業のあり方を課題に挙げた。
埼玉ALCは、地上5階建て・鉄骨造。敷地面積3万5751m2、延床面積5万4963m2。同ALCでは、センター内の品質、温度管理に関し欧州GDP基準に準拠した体制を整えた。災害時にも供給体制を確保するため免震構造、停電においても72時間無補給で稼働する自家発電体制などを備える。
メディパルHDはALCの整備を推進している。神奈川、南大阪、名古屋、札幌、東北、南東京、福岡、埼玉に続き、今後、岡山ALC(17年3月稼働予定)、広島ALC(18年4月稼働予定)、関東ALC(19年3月稼働予定)、阪神ALC(19年11月稼働予定)を整備する予定。16年度から18年度までにALC関係の設備投資として481億円を計画する。