中外・16年通期決算 国内0.4%増収 特例拡大再算定の影響吸収 17年に抗PD-L1抗体アテゾリズマブ申請へ
公開日時 2017/02/02 03:50
中外製薬が2月1日に発表した2016年通期(1~12月)決算で、国内事業は、最主力品の抗がん剤アバスチンが特例拡大再算定により薬価が10.9%引き下げられるなどした薬価改定の影響を、新製品・主力品の伸長で吸収し、国内売上(タミフル除く)は3797億円、前年同期より0.4%の微増収となった。
季節性の強い抗インフルエンザ薬タミフルを除く国内製品売上高は、主力のがん領域、骨・関節領域の増収で、同社の薬価改定影響率5.5%を吸収した形。がん領域の売上高は2203億円、2.1%増。特例拡大再算定を受けたアバスチンは、数量増により1.8%減にとどめた。ハーセプチン、カドサイラ、パージェタのいわゆるHER2フランチャイズ製品、進行・再発の非小細胞肺がん(ALK陽性患者)の新薬アレセンサなどの伸長で同領域の売上を引き上げた。
骨・関節領域の売上高は861億円、8.4%増。関節リウマチなどに用いるアクテムラ、骨粗鬆治療薬エディロール、同治療薬の新製品ボンビバがそれぞれ2桁増となり、増収に寄与した。
腎領域の売上は、オキサロールが後発医薬品(GE)参入で新薬加算相当分の返還で29.5%減となったことが主に影響し、9.5%減。移植・免疫・感染症領域では、C型肝炎のインタフェロンフリー療法の新薬参入などの影響で、肝炎治療薬が大幅に減らし13.8%の減収となった。
海外事業を含む決算全体では、海外での輸出価格の低下やアクテムラの輸出減少などがあったため売上高は4917億8000万円、1.4%減。営業利益は、ロイヤルティ等が100億円超減少したことなども影響し768億8400万円、11.4%減だった。
17年売上は5000億円突破へ 3新薬の国内申請を計画
17年業績予想(海外含む)は、主にがん領域、骨・関節領域のけん引により、売上高は5.8%増の5205億円で、5000億円突破を見込む。
同社は17年に3新薬を承認申請する計画だ。その中には抗がん剤で抗PD-L1アテゾリズマブがあり、尿路上皮がん、非小細胞肺がんの適応で申請する。また、インヒビターを保有する血友病A患者向け治療薬エミシズマブ、低悪性度非ホジキンリンパ腫治療薬としてオビヌツズマブを予定する。
【連結実績(前年同期比) 17年予想】(IFRS)
売上高 4917億8000万円(1.4%減) 5205億円(5.8%増)
営業利益 768億8400万円(11.4%減) 920億円(14.2%増)
*17年営業利益予想はCoreベース
【主要製品の国内売上(前年同期実績) 17年予想、億円】
がん領域 2203(2157)2300
アバスチン 921( 938) 927
ハーセプチン 341( 327) 351
パージェタ 119( 106) 129
カドサイラ 83( 73) 94
リツキサン 321( 290) 340
アレセンサ 119( 80) 159
ゼローダ 123( 111) 137
タルセバ 115( 116) 113
ゼルボラフ 4( 5) 4
骨・関節領域 861( 794) 945
アクテムラ 302( 268) 323
エディロール 267( 231) 295
ボンビバ 73( 54) 92
スベニール 93( 105) 92
腎領域 411( 454) 390
ミルセラ 242( 238) 250
オキサロール 91( 129) 68
エポジン 52( 59)非開示
移植・免疫・感染症領域 137(159)非開示
セルセプト 79( 70) 90
コペガス 16( 29)非開示
ペガシス 5( 19)非開示
その他領域 185( 217)非開示
シグマート 38( 52)非開示
タミフル 135( 82) 82
うち行政備蓄 15(0)16
ロイヤルティ及びその他の営業収入 191(304)300