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米国での先発品の薬価上昇率は物価上昇率の○倍?

公開日時 2017/01/19 03:50

米国での医療用医薬品ブランド品(先発品)の小売(薬局)価格の高騰率は物価上昇率の100倍を遥かに超えていることが分かった。全米退職者協会(AARP)が、昨年末発表した報告書からわかった。

AARP公共政策研究所(AARPPPI)がまとめた「処方せん薬監視報告:高齢者に広く使用されているブランド品処方せん薬の小売価格の傾向、2006~15」によると、2015年の米国の高齢者が使用したブランド品の価格は平均15.5%上昇した。一般物価上昇率は0.1%のため、ブランド品薬価上昇率は物価上昇率の100倍を突破したことになる。

同報告書の要点は以下の通り。

▽2015年のブランド品の価格上昇率は15.5%になったが、06年には5.9%だった。

▽2015年の高齢者の慢性疾患治療薬の年間薬剤費は1人当たり5800ドルに達した。06年は1800ドルと2015年の約3分の1に過ぎなかった。

▽高齢者1人当たり平均4.5枚の処方せんが発行され、これは平均薬剤費2万6000ドルに相当する。この金額は、メディケア(高齢者保険)受給者の平均収入2万4150ドルを超過している。

▽調査対象とした268ブランドの97%が値上げとなった。

▽7剤の汎用ブランド品は対前年比50%の値上がりをした。

▽2006~15年のブランド品の価格上昇率を調べた結果、6剤のうち7剤がValeant Pharmaceuticalsの製品で1番上昇率の高かったのは、Valeantの抗不安薬Ativan1mg錠(ロラゼパム)で、2873%の上昇となった。

AARPPPIのDebra Whitman氏は、「本報告書は、医薬品市場で恐ろしいほど日常になってしまった高薬価が続いていることを改めて浮き彫りにした。特記すべきは、このように信じられない値上がりが、処方せん薬の価格設定に消費者や議会の批判が高まっているにも関わらず続いていることだ」とコメントした。

トランプ次期大統領も医療用医薬品の薬価高騰問題を重視。1月11日の記者会見でも薬価高騰を抑制するために入札制度の導入などを提言した。薬価高騰は社会問題化している。

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