米FDA 軟部肉腫治療薬Yondelisを承認
公開日時 2015/10/30 03:50
米食品医薬品局(FDA)は10月23日、抗がん剤Yondelis(一般名:トラベクテジン)について軟部肉腫(STS)の適応で承認した。同剤の適応は、切除不能もしくは進行(転移)脂肪肉腫および平滑筋肉腫の2つのSTS。アントラサイクリンを含む化学療法の受療歴のある患者を対象としている。
同剤は、スペインPharmaMar社が創製。海産物のホヤのEcteinascidia turbinataから単離された天然物由来の薬剤。DNAに結合し、細胞分裂、遺伝子転写、DNA修復機構を妨げることで抗がん作用を示す。
日本では、大鵬薬品がPharmaMarから2009年に開発販売権を導入。9月28日、「ヨンデリス点滴静注用」の製品名で悪性軟部腫瘍を適応として厚労省から承認取得した。
米国では、Johnson & Johnsonグループ会社のJanssen Products社(本社:ニュージャージー州ラリタン)が販売、Janssen Products社がPharmaMar社から欧州および日本を除く世界中での開発販売権を取得している。
同剤の臨床試験を担当したGeorge D Demetri博士(Ludwig Center at Harvard所長兼Dana-Farber Cancer Institute肉腫・骨腫瘍センター長) は、「本日の承認は、我々の何年にもわたる研究に積み重ねられた意義ある出来事だ。STSという重篤な疾患のなかでも最も多いサブタイプで、かつ、治療法も限定されている脂肪肉腫および平滑筋肉腫とともに生きる患者らに新たな望みを与えるものだ」とコメントした。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のRichard Pazdur血液・腫瘍製品部長は、「進行もしくは転移軟部肉腫の治療は、患者にとって治療選択肢が少ししかないという困難な挑戦を象徴している」と指摘した。その上で、「Yondelisの本日の承認は、進行もしくは転移脂肪肉腫および平滑筋肉腫の治療選択肢を提供するものだ」と同剤の登場を歓迎した。
STSは、筋肉、腱、脂肪、血管、リンパ管、神経および関節周辺の組織に発症する。脂肪肉腫および平滑筋肉腫は、脂肪細胞と平滑筋に発症する特定の型のSTSである。