米FDA 化学療法に対する制吐剤rolaitantを承認
公開日時 2015/09/10 03:50
米食品医薬品局(FDA)は9月2日、米ベンチャー企業Tesaro社(本社:マサチューセッツ州ウォルサム)の制吐剤Varubi(一般名:rolapitant)を承認した。同剤の適応は、催吐性のある(高度の催吐性を含む)がん化学療法による遅発期の悪心・嘔吐の予防。他の制吐剤との併用下での投与が可能になる。
同剤は、サブスタンスP/ノイロキニン‐1(NK-1)受容体拮抗剤。一定の抗がん剤による悪心・嘔吐の発症に重要な役割を果たしている、NK-1受容体に選択的に結合し、その活性を抑制する。
臨床試験では、悪心・嘔吐を引き起こす抗がん剤として、シスプラチン、カルボプラチンおよびアントラサイクリン/シクロホスファミドをベースとしたレジメンが組み込まれた。
悪心・嘔吐は、がん化学療法を受療している患者によくみられる副作用だが、抗がん剤服用開始後24〜120時間までに発現する悪心・嘔吐を遅発性と定義している。これら悪心・嘔吐は長引き、体重減少、脱水、栄養不良などを招き、栄養状態を悪化させる。
Tesaro社にとって、Rolapitantは初の上市製品となったため、同社のLonnie Moulder CEOは、「Varubiの承認は、Tesaroが強力な開発および商業化能力を持ったバイオ医薬品企業に進化するために重要なマイルストーンを示した」とした。その上で、「我々は、抗がん剤誘発性悪心・嘔吐(CINV)についての認知度の向上や本剤が第4四半期には患者の手元に届くよう医療関係者と協力して行く所存だ」と発売への意欲を示した。Tesaro社は、同剤の米国での売上は10億ドルを超える可能性があるとみている。
FDA医薬品評価研究センター(CDER)のAmy Egan医薬品評価第2部副部長は、「化学療法誘発性の悪心・嘔吐は、患者の生活、また時には治療をも混乱させている重大な課題となっている。本日の承認は、化学療法によって誘発される遅発期の悪心・嘔吐の予防について新たな選択肢をがん患者に提供するもの」と同剤の登場を歓迎した。