米FDA 初の女性性欲低下障害治療薬flibanserinを承認
公開日時 2015/08/20 03:50
米食品医薬品局(FDA)は8月18日、閉経前女性の性欲低下障害(HSDD)に対する初の治療薬Addyi(一般名:flibanserin)を承認した。
HSDDは、閉経の苦悩やパートナーとの対人関係の困難さを引き起こす性欲の低下を特徴としている。同疾患は、併存する医学的あるいは心理的状態や人間関係自体の問題、他の医薬品の影響などは関係のないものである。HSDDはいままで性欲が正常だった女性に発症し、性行動のタイプやパートナーに関係なく発症する。
FDAのJanet Woodcock医薬品評価研究センター(CDER)長は、「本日の承認は、性欲減退に悩む女性にFDAが承認した治療オプションを提供するものである」と述べたうえで、「FDAは女性の健康を守り、その推進に努力している。そして、女性の性機能障害の安全かつ有効な治療法の開発の支援に取り組んでいる」と話した。
さらに、同剤がアルコール飲料との相互作用で重篤な副作用が発現する恐れがあるため、アルコール飲料とは禁忌になっていることから、「同剤の治療は、有資格の医療専門家及び薬剤師を通してのみ施療することができる。患者および処方者は、治療にあたっては同剤の使用に伴うリスクを十分に理解すべき」と同剤の適正使用に注意を促した。
同剤は、アルコール飲料もしくは中等度及び強度のCYP3A4阻害剤との併用で、重度の低血圧および失神を起こす可能性がある。そのため、この点が枠組み警告に記載された。同剤には、「リスク評価・緩和計画」(REMS)の実施が義務付けられた。
Flibanserinは、セロトニン1A受容体作動作用とセロトニン2A受容体拮抗作用を持つが、なぜ性欲を改善するのかの理由については明確になっていない。
1日1回投与で、就寝時に服用する。就寝時に服用するのは、低血圧、失神や中枢神経系の抑制(眠気、鎮静状態)などの副作用発現を軽減するためである。患者が同剤服用後8週間経過して改善がない場合、治療を中止しなければならない。
同剤は、米Sprout Pharmaceuticals(本社:ノースカロライナ州ラーレイ)が販売する。当初、独ベーリンガーインゲルハイムが開発していたが、2010年にFDAによる非承認となったのち、Sproutに同剤の権利を売却、Sproutが開発を続けていた。