GSK 個人営業目標を廃止したMR新評価体系導入
公開日時 2014/11/04 03:52
グラクソ・スミスクライン(GSK)は、これまでのMR評価体系を見直し、2015年から新たな評価体系を導入する。MR評価において個人の売上やシェアなどを撤廃し、コンプライアンス遵守や品位ある行動を必須条件とした上で、MRの活動量、専門的知識、スキル、マナー、医師からの顧客満足度などを総合的に評価する。医師ニーズや志向に見合ったマルチチャネルの活用もMR評価にも導入する考え。2016年からは講演料の支払いも取りやめる。同社は、自社製品への処方を誘導するための対価ではないかとの疑念を一般社会から持たれる可能性を排除するためとしている。
「GSKのMRはストリートファイター型でなく、非常に高い見識と専門知識を持ち、医師とのリレーションを図っている。そこに強みがあるからこそ、この方針を導入しようとすることができたと考えている。単にSOV(シェア・オブ・ボイス)を高めるだけのMR活動はしたくないということだ」――。GSKのフィリップ・フォシェ代表取締役社長(写真)は、本誌との単独会見の中でこう語った。
新たなMR評価の体系は、MRとその上長である営業所長、課長に、売上高に対してインセンティブを与えないものとなる。評価の指標としてこれまでの売上や数字などを廃止し、コンプライアンス遵守や品位ある行動を必須条件とした上で、活動量や質を重視。プロモーションコードを準拠した上で、▽各製品、各領域の目標値への貢献度をみる“活動量”、▽専門的知識・スキルやマナー、▽医師の顧客満足度――などを指標とし、総合的に評価する。
知識・スキルとしては、薬物治療における医師のパートナーとなれたか、がポイントとなる。医師のニーズを探り、医師の抱える臨床上の課題に対し、客観的で学術的なソリューションを提供できるかを評価する。顧客満足度としては、グループやテリトリーが統合された形で総合評価する見通しだ。
医師や薬剤師とのリレーション構築の指標としては、マルチチャネルの活用を重視する。MR自身が、eメールや自社サイト、オンラインディテーリング、カスタマー・ケア・センターなどの各チャネルを活用。MRが個々の医師のニーズを探り、いわば“コーディネーター”として、最適化された深い学術情報の提供に努める。このモデルは、メディカル・アフェアーズとは完全に分離した形で描かれているのも特徴だ。売上高のインセンティブについては、GSK日本法人全体の成果として反映する。
◎デジタルツール活用で医師同士のディスカッションをサポート
2016年からは講演料の支払いも取りやめる。一般社会から自社製品への処方を誘導するための対価ではないか、との疑念を持たれる可能性を排除するためだという。ただ、医師への情報提供手段として、講演会を開催しないのではない。全国の医師が一堂に会してディスカッションを行う従来の全国講演会に替わるものとして、「プロモーションではなく、医師同士のディスカッションの機会を提供していきたい」(フォシェ社長)との考えからだ。
今後は、デジタルツールの活用で、さらなる“進化”を遂げたい方針。例えば、デジタルツールの活用で、北海道と四国の医師をつなぎ、対話する機会を提供する。こうした医師同士の対話の場を提供することで、「新しい情報提供の世界を作っていきたい」(フォシェ社長)としている。そのほか、学会などを通じた医学教育支援の拡充も視野に入れる。
一方で、同社が委託する臨床試験、コンサルタント業務、市場調査などには引き続き適切な報酬の支払いを行うとしている。
詳細はMonthlyミクス11月号 Special Reportに掲載。