久光製薬の南秀尚・執行役員渉外担当は10月10日の2024年度第２四半期（24年３月～８月）決算説明会で、10月に施行された長期収載品の選定療養化の対象製品となっているモーラステープへの影響について、「当初警戒していたほどの影響はない」と述べた。選定療養の対象となった長期収載品では、長期収載品の薬価と後発品の最高価格帯との価格差の４分の１に相当する額を患者が追加負担する。南氏は、４月の薬価改定でモーラステープ後発品の一部に不採算品再算定が適用されて薬価が引上げられたため、モーラステープとの価格差が想定より狭まったと説明。結果的に患者の追加負担分も少なくなり、選定療養による影響も当初想定ほどはないとの認識を示した。

◎モーラステープの24年度国内売上計画　期初計画の18％減収を据え置き

モーラステープ群の24年度（24年３月～25年２月）の国内売上予想は前年度比18.0％減の199億円となっている。同社は４月の23年度決算説明会で、モーラステープ群の24年度の主な減収要因として、▽24年度薬価改定の影響（汎用規格のモーラステープL40mgで5.9％引下げ）、▽後発品の使用促進、▽選定療養の影響――を挙げていた。

この日の24年度第２四半期決算説明会で同社の磯部雄一・執行役員経営企画本部長は、モーラステープ群の期初計画は長期収載品の選定療養化の運用細部が固まっていない中で策定したものだと説明した。その後、患者の追加負担を計算する上で必要となる後発品の薬価が明らかとなり、例外規定などの運用細部も明確になったことを受けて、「当初の見通しより影響は小さくなる印象」と述べた。

ただ、モーラステープ群の24年度売上計画を上方修正するかについては、「（長期収載品の選定療養の仕組みが）始まったばかりで、影響の度合いがはっきり見えていない」として、現時点では期初計画を据え置いたと説明した。

◎ジクトルテープを「早期にモーラステープ群を超える基幹製品に育てていく」

24年度上期の日本の医療用医薬品売上は前年同期比1.3％減の264億6300万円だった。最主力品のモーラステープ群の国内売上は9.4％減の106億2300万円となり、４月の薬価改定や後発品使用促進が大きく響いた。

次期主力品候補の非ステロイド性抗炎症薬（NSAIDs）含有全身性経皮吸収型製剤・ジクトルテープは69.7％増の38億9700万円と大きく伸長した。24年度の売上計画は79億円。

同社の舛屋泰之・執行役員BU本部長は、ジクトルテープが“全身性経皮吸収型製剤”であるとの認知や、経皮吸収型ということで消化管障害の低減が期待できるとの製品特性の理解が「着実に浸透してきている」と手応えを語った。そして、学会や全国及びエリアの講演会などを通じたジクトルテープの認知向上とシェア拡大に意欲を見せ、「早期にモーラステープ群を超える基幹製品に育てていく」と表明した。

ジクトルテープの成長戦略やピーク時売上予想は、26年度を初年度とする第８期中期経営計画の中で明らかにする予定。

◎24年度上期の連結業績　４期連続の増収増益

24年度上期の連結業績は売上高754億5600万円（前年同期比12.7％増）、営業利益90億600万円（7.3％増）、親会社帰属純利益90億9800万円（8.1％増）――で、上期業績では４期連続の増収増益を達成した。国内医療用医薬品が減収だった一方で、海外の医療用医薬品事業や日本及び海外の一般用医薬品事業がいずれも増収とし、海外収益には円安効果もあった。

【24年度上期連結業績（前年同期比）　24年度通期予想】
売上高　754億5600万円（12.7％増）　1520億円（7.3％増）
営業利益 90億600万円（7.3％増）　145億円（10.1％増）
親会社株主帰属純利益　90億9800万円（8.1％増）　158億円（13.1％増）

【24年度上期の国内医療用主要製品売上（前年同期実績）　24年度予想、億円】
モーラステープ群　106.23（117.25）　199
ジクトルテープ　38.97（22.96）　79
ハルロピテープ　20.05（19.37）　41
モーラスパップ群　16.11（18.09）　32
フェントステープ　14.99（18.12）　29
アポハイドローション　7.88（6.29）　24
エストラーナテープ　9.45（9.84）　19