24年度薬価改定 新薬創出等加算見直しで早期開発につながると歓迎 乖離率超要件は「予見性損なう」
公開日時 2024/06/17 04:50
日本製薬団体連合会保険薬価研究委員会(薬価研)は6月14日の研究報告で、24年度薬価制度改革で見直された新薬創出等加算について、革新的新薬などの早期開発に寄与するという意見があがったとのアンケート結果を示した。新薬創出等加算の対象品目の86.6%の品目で薬価が維持されており、こうした点を評価する声があがった。一方で、平均乖離率超の品目では加算が適用されなかったことに対しては、「製薬企業が関与できないため、予見性が損なわれているとの否定的な意見があった」としている。
◎「小児開発や社内承認が得られなかったプロジェクトの検討が進んでいる」との声も
24年度薬価改定で見直しがなされた新薬創出等加算。薬価研の行ったアンケート調査では、企業から企業指標に基づく加算係数の廃止や品目要件の対象品目の追加(小児加算・迅速導入加算)を歓迎する声があがった。「導入検討中の新薬に迅速導入加算の適用が検討され、前向きな議論が始まった」、「小児開発や社内承認が得られなかったプロジェクトの検討が進んでいる」など前向きな変化をあげる声があがった。
一方で、平均乖離率超の品目は、新薬創出等加算の対象品目ではあるものの、加算が適用されないことになった。そのため、「製薬企業の関与ができない指標であり、予見性を損ねることから理解しがたい」、「平均乖離率が圧縮していく中では、革新的な新薬でも一定程度競合が存在する領域で加算適用されにくくなる」など否定的な声が。ただ、「革新的な新薬ならば市場における評価も高いため、理解できる」との声もあった。
◎薬価維持品目は新薬創出等加算対象品目の86.6%
新薬創出等加算の対象品目は623品目。ただし、平均乖離率超で薬価が維持されなかったのが78品目、市場拡大再算定の対象となり薬価が引き下がった品目は39品目で、薬価が維持されたのは506品目だった。なお、薬価が維持された品目は新薬創出等加算の対象品目の86.6%に当たる。
過去5年間新薬の開発実績がなく、加算対象外となった企業の10品目を含む149品目の加算累積額が控除された。控除品目の改定率は平均27.8%(中央値で29.2%)。今回改定で改定率が45%以上の品目も確認されたという。
なお、新薬創出等加算の加算額は約314億円、控除額は約885億円となり、22年度に続き、控除額が加算額を上回り、控除額は過去最大となった。
◎24年度改革影響は▲3.6% 新薬系で15.6%、後発品系企業で7.0%のプラス企業も
24年度薬価制度改革の改革影響は全体で▲3.6%(中央値、▲10.8%~21.6%)、新薬系企業▲4.3%(▲9.6%~15.6%)、後発品系企業▲3.6%(▲10.8%~7.0%)、その他企業2.7%(▲6.9%~21.6%)だった。
アンケート調査は、日薬連薬価研運営員会社55社、日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)加盟会社30社、PhRMA・EFPIA会員会社22社の87社を対象に実施した。