アッヴィ・フェリシアーノ社長 患者参画によるエコシステムの必要性を提唱 世界のロールモデルに
公開日時 2024/04/22 04:50
アッヴィ合同会社のジェームス・フェリシアーノ社長は4月19日、CPHI Japan(国際医薬品開発展)で講演し、患者参画によるエコシステム構築の必要性を提唱した。具体的な施策として、「患者アドボカシー」の重要性を指摘。「患者の声を聞いて医療サービスの共同設計者になってもらう」と述べ、製薬企業、医療関係者、政府、患者アドボカシー団体などが中心的なステークホルダーとなり、患者体験(ペイシェント・エクスペリエンス)の改善に取り組むエコシステムを構築すべきと強調した。加えて、日本独特の国民皆保険制度に絡めながら、「患者アドボカシーの観点で世界のロールモデルになることができる」と期待を込めた。
◎国民皆保険の日本 患者参画促進で「世界のロールモデルになって」
基調講演したフェリシアーノ社長は、患者アドボカシーの定義について、生成AIが導き出した見解なども交えながら、「医療制度における患者のエンパワーメント、ニーズ、患者参画を支援し促進すること」と紹介した。また、患者の自律促進のために、正確な情報に基づいた選択や意思決定への積極的な参加ができるよう、情報や支援の提供が必要だとした。
その上で、日本の国民皆保険の恩恵により医療アクセスが平等に保たれていると評価しながらも、都市部と山間部で専門医へのアクセスに差があるなど、「地理的な不平等は課題」と指摘。遠隔医療プラットフォームや患者ポータル、モバイルアプリなどのデジタルソリューションを活用することで、「インタラクティブに患者も医療サービスの共同設計者として参加できる」と強調。「患者の意見や評価を聞き、それをフィードバックするメカニズムを導入することで患者参画による医療を推し進めることができる」との見解を披露した。
◎患者中心に据えたエコシステム 「相乗的なアドボカシー向上につながる」
患者中心のエコシステムのイメージについては、製薬企業の立場から、患者の意見を取り入れた治療法や医薬品開発が可能になるほか、患者への情報提供や教育促進なども可能になると説明。一方で医療関係者の立場からは、インフォームドコンセントの共同意思決定の促進や患者のニーズ、希望、目標への理解、さらには患者中心のケアの実現にもつながるとした。政府の立場からは、患者中心の政策と規制の策定、患者の権利促進、DX(デジタル)の促進などに期待した。患者アドボカシー団体については、患者の権利保護に加えて、より良き医療政策の実践を提唱する立場の重要性を指摘した。
フェリシアーノ社長は、「平易な言葉でコミュニケーションができ、へルスリテラシーが向上できる。コラボレーションやネットワーク、医療サービスと患者サポート、また新しい技術の活用ということでヘルスケアシステムを強化できる」と強調。「更なるヘルスケアシステムの改善が図られ、さらに患者のアドボカシーが改善していくことになるということになる」と述べ、患者中心のエコシステムを構築する意義について理解を求めた。