オムロン・辻永社長CEO 国内外の従業員約2000人削減へ 構造改革プログラム「NEXT 2025」を発表
公開日時 2024/02/27 04:51
オムロンの辻永順太代表取締役社長CEOは2月26日、構造改革プログラム「NEXT 2025」の説明会に臨み、国内・海外の従業員各1000人、合計約2000人を削減すると発表した。うち国内で実施する希望退職の募集は、グループ会社の従業員のうち今年7月20日時点で勤続年数3年以上かつ年齢40歳以上の正社員およびシニア社員が対象。実施期間は24年4月10日~5月31日で退職日は7月20日を予定する。なお、昨年9月のTOBを経て連結子会社化したJMDCは除外する。
「この約2年間、制御機器事業でのソリューションビジネスの拡大や、JMDC社の連結子会社化とデータソリューション事業の基盤作りなど、新たな成長事業の仕込みはいずれも容易な道のりではなかったが、価値創造に向け一定の進展と手応えを得た。しかしながら、これらの進展だけで厳しい事業環境を乗り越えることは難しく、最高業績を達成した昨年度(22年度)から一転、今期は業績が大きく低下する見通しだ」-、辻永社長CEOはこう説明した。確かに昨年9月には、国内ナンバー1のヘルスケアデータアセットを持つJMDCへのTOBを経て、連結子会社化を果たしている。辻永社長CEOも23年9月8日の記者会見で、「JMDCのケイパビリティ活用をレバレッジし、新たなデータソリューションを創出する」と期待を寄せていた。
一方で同社の業績をみると、ヘルスケア事業は22年度の売上高1421億円から23年度は1505億円まで成長する見通しが示されるものの、主力の制御機器事業は売上高が4857億円から3885億円に減収予想となっている。電子部品事業も減収見通しだ。辻永社長CEOは、「各事業で成長の牽引役に偏りがあり、グループの販管費率、人的創造性は悪化傾向にある」との現状認識を表明し、収益改善の道筋をつける必要性を指摘した。
◎「変化の激しい事業環境に対して、耐性のある人員、人権構造を構築するため人員削減を行う」
その上で、「当初、2025年3月までとしていた中期経営計画の目標を取り下げ、24年4月1日から2025年9月30日までを構造改革期間と位置づけ、構造改革プログラム“NEXT 2025”を推進する」と宣言。事業の早急な立て直しを行うなど「必要なアクションを迅速に実行する」と強調した。また、グローバルでの人員削減を含む「人員数・能力の最適化」にも取り組む方針を明言。辻永社長CEOは、「本施策の狙いは価値創造の加速に向け、組織人材の能力転換を進めていくこと」と述べ、「変化の激しい事業環境に対しても、耐性のある人員、人権構造を構築するため、グローバルで約2000名の人員削減を行う」と明らかにした。また、「既存人財に対する更なる能力開発と、必要な能力を有する人財の獲得」にも取り組む方針を明言した。
同社は「人員数・能力の最適化」に伴う特別一時金等の費用として2024年度に特別損失の計上を想定している。また、構造改革プログラム“NEXT 2025”において「固定費」については、「人員数・能力の最適化」、「固定費生産性の向上」で300億円の削減を完遂するとした。