アステラス製薬 営業組織を4月に再編 セールス機能は2系統に集約 3月末のMR退職を見据え新体制構築
公開日時 2024/02/08 04:52
アステラス製薬は2月7日、新たな日本の営業組織を発表した。製品ごとの最適な営業モデルを構築するほか、コロナ禍を経て顧客とのデジタルコミュニケーションが浸透したことを踏まえ、カスタマーエンゲージメント(顧客との深い信頼関係)の強化を主体とした組織体制に見直す。具体的には、日本コマーシャルにあるスタッフ機能を7部から6部に再編、セールス機能は9営業部を2系統の「セールス」に見直す。新組織は4月1日実施。同社は国内営業に「特別転進支援制度」を導入し、3月末に500人前後の退職が見込まれる。現在のMR1200人体制も4月には1000人を大きく割り込む。同社は本誌取材に、「この流れは中期経営計画(経営計画2021)に基づくもの。MRの3月末退職を想定した新たな営業組織になる」とコメントした。
同社の日本コマーシャルには、現在スタッフ機能として7部(営業戦略部、マーケティング部、セールスオペレーション部、デジタルコミュニケーション部、コマーシャルエクセレンス部、営業管理部、流通部)ある。また、セールス機能は9営業部(固形がん第1営業部、同第2営業部、血液がん営業部、RA営業部、スペシャリティケア第1営業部、同第2営業部、同第3営業部、同第4営業部、同第5営業部)あり、それぞれMRが配置されている。
◎オンコロジー、スペシャリティケアの2系統 「セールス」と「マーケティング」設置
4月からの新体制では、スタッフ機能として、①オンコロジーマーケティング部、②スペシャリティケアマーケティング部、③オンラインカスタマーエンゲージメント部、④流通部、⑤カスタマーエクセレンス部、⑥戦略企画部-の6部に再編。一方、セールス機能は、①オンコロジーセールス、②スペシャリティケアセールス-となり、オンコロジー領域とスペシャリティケア領域の2系統に、それぞれセールスとマーケティング部を置く形とした。また、MRは、「オンコロジーセールス」に泌尿器がん営業部、血液がん営業部を設置、「スペシャリティケアセールス」にRA(リウマチ)営業部、スペシャリティケア営業部を置く。
◎データに基づくオムニチャネル戦略の企画・実行・検証は「カスタマーエクセレンス部」
このほか今回の営業組織の見直しでは、「カスタマーエクセレンス部」を設置する。顧客ニーズに応じた「データに基づくオムニチャネル戦略」の企画・実行・検証を行い、より高いカスタマーエンゲージメントを実現する。同社はすでに、オンラインMRや自社サイトの充実、さらにはメタバースを使ったWebセミナーなどを通じたオムニチャネルアプローチを実践している。コロナ禍を経て、MRによる医師へのコンタクも、リアルとオンラインのハイブリッド型が主流となる中で、デジタルを自分事として使いこなせるMRを目指し、かつ顧客である医師や医療従事者のリアクティブな質問にも的確に答えることができ、その結果、顧客エンゲージメントを高め、成果を生みだすことのできる組織の再構築に舵を切った。
◎「オンラインMR」を支援する部署も新設
同時に、これまでのオンラインによる情報提供・収集を専門に行う「アステラス オンラインMR」の活動をさらに強化するため、「オンラインカスタマーエンゲージメント部」も設置する。
このほか、製商品管理などの流通に関わる機能を集約した「流通部」や、日本コマーシャル全体の戦略策定と安定的な営業活動および組織運営を行う「戦略企画部」も刷新する。
◎デジタル&変革担当(CDTO)にニック エシュケナジー氏 4月1日付で就任
このほか同社は、4月1日付で、デジタル&変革担当(CDTO)をトップマネジメントに新設し、23年11月1日付でChief Digital Officerとして入社したニック エシュケナジー氏が就任すると発表した。また、常務担当役員日本コマーシャルヘッドの筒井泰博氏が年3月31日付で退任し、後任に河野順コマーシャルストラテジー部門長が4月1日付で就任する。