アルツハイマー病研究が失敗続きなのは、なぜか
公開日時 2024/01/24 00:00
情熱的読書人間榎戸誠【アルツハイマー病】誰でもアルツハイマー病を発症する可能性があることを考えると、『アルツハイマー病研究、失敗の構造』(カール・ヘラップ著、梶山あゆみ訳、みすず書房)は多くの人に読まれるべき一冊である。医療関係者、医薬品業界関係者にとっては必読の書と言えるだろう。「私たちはアミロイドのみのルートを通ってアルツハイマー病の治療薬を追い求めてきたために、多くの時間を失った。たぶん10~15年は無駄にしてきただろう」。本書で注目すべきは、下記の3つである。【アミロイドカスケード仮説】第1は、アルツハイマー病の治療薬の研究・開発が「アミロイドカスケード仮説」一本槍の現状に対する異議申し立てである。「アミロイドカスケード仮説」とは、アルツハイマー病はアミロイドプラークと神経原線維変化...