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武田薬品 光工場でドローンによる夜間の自動巡回を実用化 環境負荷少なく強化 火災の早期発見も

公開日時 2023/08/30 05:30
武田薬品は8月29日、光工場(所在地:山口県光市)で夜間のドローンによる自動巡回を実用化したと発表した。夜間の警備・点検・防災を目的に、夜8時以降に1日1回巡回する。これまで、車での巡回を行ってきたが、ドローンの活用により、環境への負担が少なく、人による夜間の巡回を補強する。人の目では視認が難しい建物内の高熱化を感知することができるのも特徴で、早期に火災への対応や火元の特定も可能と期待を寄せる。ドローンによる巡回は、製薬企業としては、国内で初めての取り組みとなる。

ドローンは、事前にプログラムしたルートに沿って自動飛行し、危険物取扱施設上空を巡回する。全球測位衛星システム(GNSS)および光工場内に設置した基地局からの位置情報を受信することで、1センチメートル単位での飛行設定が可能という。

◎人が視認できない建物内の高熱化も感知 いち早い火災の発見も

夜間撮影に適し、200倍のズームが可能な高感度耐性カメラと赤外線カメラを用いることで、人が視認できない建物内の高熱化も感知することで、いち早く火災を発見、対処することが可能としている。また、火災が起きた際、煙などで視界が不良になっていても火元を特定することも可能としている。ドローンの自動巡回中に不審なものや状況を認めた場合には、訓練を受け資格を有した警備担当がドローンを手動操作してより詳細な状況を確認し、必要な対応を検討する。

◎将来的には画像にAI活用で異常事態の検出も

現在は、異常が検出された際は人が目視することで判断することが必要だが、今後は、画像にAIを活用することで、液体物の漏洩などの異常事態を検出し、人にアラートを発する形を目指す。ドローンの巡回から得られるデータはドローンのサプライヤーと共有し、さらなる技術開発を目指す方針。

同社は企業理念に、PATIENT(すべての患者さんのために)、PEOPLE(共に働く仲間のために)、PLANET(いのちを育む地球のために)、データとデジタルを掲げており、これに合致した取り組みとしている。導入を主導した光工場の山口健一EHS室長は、「環境への負荷が低く、データやデジタル技術を組み込んだ自動飛行ドローンを、人による巡回を補強する形で活用することで、患者さんに革新的な医薬品を安定的にお届けする体制を整え、光工場で働く従業員と地域コミュニティーの安全確保に注力する」とのコメントを寄せている。

◎災害時におけるドローンによる活動支援も 光地区消防組合と協定書を再締結へ

災害時における地域での活動も支援する考え。災害発生後の捜索や被災状況の確認などのために、光地区消防組合からの要請に応じて当社からドローンを貸与するとともに操縦技術者を派遣する方針だ。光地区消防組合と災害時におけるドローンによる活動支援について、「消防応援協定書」に追加する見直しを行い、再締結する予定としている。
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