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心・血管修復パッチ「シンフォリウム」が承認取得 大阪医科薬科大、福井経編興業、帝人が共同開発

公開日時 2023/07/13 04:48
大阪医科薬科大学、福井経編興業、帝人が共同開発した心・血管修復パッチ「シンフォリウム」(開発コード:OFT-G1)が7月11日付で製造販売承認を取得した。先天性心疾患への外科治療における新たな選択肢となる。今後、製造販売を担う帝人メディカルテクノロジーが中心となって、シンフォリウムを2023年度中に上市することを目指す。

シンフォリウムは、吸収性の糸と非吸収性の糸による特殊な構造のニットを吸収性の架橋ゼラチン膜で覆い、一体化させたシート。手術によって心臓や血管に縫着された後に、まずゼラチン膜が、次に吸収性の糸が徐々に分解され、自己の組織が本製品を含むように形成される。この自己組織化は、従来の製品で見られた異物反応や石灰化などの問題が発生しにくいという特長があり、手術材料に起因する再手術リスクの低減が期待されるとしている。

先天性心疾患の治療では、パッチ状の医療材料を用いて狭窄部や欠損部の血液循環を正常化する手術が行われる。患者が新生児や幼児のうちに手術を行うことが多く、子供が成長していく中で、埋植したパッチが異物反応を受けて劣化したり、成長に伴ったサイズ増大がないことによって手術部の狭窄が発生したりする。これにより、再手術によってパッチを交換する必要が生じることは少なくなく、患者や医療者を悩ませていた。

この課題に対し、大阪医科薬科大の根本慎太郎教授が“自分の組織に置き換わることで患者の成長に伴うサイズ増大に対応できるパッチ”のアイデアを打ち出し、福井経編興業が伝統的な繊維産業の高度な経編の技術によって、特別な編み地構造に細胞を取り込み伸張可能な心・血管修復パッチの試作品を考案・完成させた。そこに帝人が製品化に向けた設計開発や薬事申請などを担う役割として参画。14年から3者による共同開発を行ってきた。なお、18年4月には厚労省から先駆的医薬品等指定制度(旧:先駆け審査指定制度)に指定された。

帝人メディカルテクノロジーを含む4者は今回の承認取得を受け、「本製品は先天性心疾患と闘う患者さんの悩みをアカデミアが拾い上げ、中小企業と大企業がそれぞれの技術力とノウハウを持ち寄り、強い協力関係によって製品化に至った、我が国でも数少ない成功例といえる」とコメントしている。
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