武田薬品は1月31日、５Ｇを活用した配送ロボットによる医療関係物資の配送／回収サービスの検証を東京・西新宿で実施したと発表した。東京都の「西新宿の課題解決に資する５G等先端技術サービスプロジェクト」の参加企業に加えて、東京医科大学病院と京王プラザホテルが協力。血友病患者向けの処方箋医薬品を往路で配送し、医療廃棄物の回収を復路で行い、配送ロボットの強みである「非接触」などの利点を検証した。武田薬品は、ユースケース（医療関係物資の配送・回収）の提供支援と医療機関（病院・薬局）との連携支援を担当した。

今回の取り組みは、武田薬品のほか、川崎重工、ティアフォー、KDDI、損害保険ジャパン、menuの各社が参加し、１月23日から2月10日の日程で5Gを用いた遠隔監視で運行できる複数台の配送ロボットを使った自動配送サービスを提供するプロジェクトを行っている。サービス検証では、医薬品以外にフードデリバリーサービスの配送サービス検証も同時に行われている。

◎血友病の患者向けに処方箋医薬品を配送、復路で医療廃棄物を回収

配送ロボットを使った医療関係物資の配送／回収サービスの検証では、往路で血友病の患者向けに処方箋医薬品を配送し、復路で医療廃棄物の回収を行うことにより、配送ロボットならではの強みである非接触、荷物のトレーサビリティ、重量物の配送といった利点の検証を行った。また、患者のアドヒアランス向上や医薬品の製造、流通、サービスの観点から患者に医薬品を安全かつ効率的に届けるための知見も収集する。さらに、医薬品の個人宅配送が定常化する環境変化を見据え、在宅患者へのオンライン診療やオンライン服薬指導に加えて、配送ロボットによる自動配送サービスを組み合わせた新たな取り組みを実施する。

1月31日のサービス実証では、東京・西新宿の東京医大病院と患者宅に見立てた京王プラザホテルの間（総走行距離 約1.2km）で、実際の配送ロボットを使った医薬品の配送、回収サービスの検証を行った。参加企業の役割分担は、武田薬品がユースケースの提供、医療機関（病院・薬局）との連携支援を行ったほか、川崎重工は、全体統括、配送ロボットの開発、自動配送サービス提供。ティアフォーは、自動運転システムの開発から運行管理。KDDIは5G通信環境の提供。損害保険ジャパンは、自動運転リスクアセスメントや自動配送ロボット専用保険の提供などを担った。このほかｍenuは、フードデリバリー側の利用者・参加店舗の募集と管理などを手掛けた。今後は、事業面・運用面・技術面の課題抽出を行い、西新宿エリアにおける継続的なサービス提供や東京都内の他エリアへのサービス拡大の早期実現を目指す方針だ。