オミクロン株対応ワクチン 接種間隔を「3か月」に短縮 薬食審・第二部会が了承
公開日時 2022/10/20 04:51
厚生労働省の薬食審・医薬品第二部会は10月19日、新型コロナのオミクロン株対応ワクチン(2価ワクチン)の前回接種からの接種間隔について、「少なくとも3か月経過した後」に変更することを了承した。現在は「少なくとも5か月経過した後」となっており、2か月短縮する。2価ワクチンの接種間隔の短縮に合わせ、コミナティ筋注(1価)とスパイクバックス筋注(1価)の追加免疫に係る接種間隔も「少なくとも3か月」に統一することになった。同省は部会後、製造販売元に対し、添付文書の中で接種間隔を記載した「用法及び用量に関連する注意」の項の改訂を指示。早ければ20日にも添付文書改訂が行われる。
添付文書では現在、追加免疫に係る接種間隔について、「通常、前回のSARS-CoV-2ワクチンの接種から少なくとも5か月経過した後に接種することができる」となっているが、この「5か月」を「3か月」に改訂する。なお、11歳以下の新型コロナワクチンの追加免疫に係る接種間隔は、これまで通り「5か月」のままとなる。
今回は薬事上の手続きで、20日開催予定の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会で予防接種法上における取扱いを決めた後、21日から追加免疫に係る接種間隔を「少なくとも3カ月経過した後」とする運用(以下、3か月接種)が開始される見通しだ。
◎ファイザーの3製品、モデルナの2製品 3カ月接種の対象に
3か月接種の対象となるのは、ファイザーが製造販売する▽コミナティRTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)、▽同RTU筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)、▽同筋注(1価:起源株)――と、モデルナが製造販売する▽スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)、▽同筋注(1価:起源株)――の計5製品。このうちコミナティRTU筋注(2価)は12歳以上、スパイクバックス筋注(2価)は18歳以上に対し、いずれも追加免疫に使用できるワクチンとして特例承認されている。
厚労省は追加免疫には2価ワクチンを使うことを求めているが、選択肢の確保及び現場での混乱回避の目的で、1価ワクチンの追加免疫も3カ月接種とすることにした。
◎製造販売後安全性情報 接種間隔2か月の米国、3か月の欧州で「安全性について特段の懸念ない」
今回、部会では、日本などに提出された臨床試験データを改めて確認したほか、追加免疫の接種間隔が2か月の米国、同3か月の欧州での製造販売後安全性情報などを確認した。
コミナティについては、1価(オミクロンBA.1)ワクチンを用いた3~6か月間隔での臨床試験データや、米国における最低12週間隔での1価(起源株)ワクチンの3回目接種の臨床試験データを踏まえ、安全性で「特段の懸念は報告されていない」ことを確認した。スパイクバックス筋注(2価:起源/オミクロンBA.1)は、接種間隔3カ月以上での追加免疫に係る臨床試験データが提出されて特例承認されており、同日の部会でも「中和抗体価の上昇が認められ、安全性についても特段の懸念は報告されていない」ということを改めて確認した。
製造販売後安全性情報に関しては、ファイザーが22年10月5日に取りまとめた「Safety Monthly Summary Report」(報告期間:22年8月16日~同年9月15日)をもとに9月から2か月以上の間隔で2価ワクチンの接種が始まった米国での副反応報告を確認し、「新たな安全性のシグナルは認められておらず、安全性について特段の懸念はないと考えられる」との結論に至った。ただ、例えば2価ワクチンを接種するところを誤って1価ワクチンを接種してしまった、2価ワクチンを初回免疫として使用してしまった――など、2価ワクチンの接種過誤に関する報告が一定数あり、「注視する必要がある」ことも確認した。
同レポートでは、9月から3か月以上の間隔で2価ワクチンの接種が始まった欧州も報告対象となっているが、「報告期間内に副反応報告はなかった」としている。