【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

元MSD副社長・新藤氏 「MRの使命は情報の非対称性の解消」 情報量が急増するがん領域こそ活躍の場

公開日時 2022/10/19 04:52
元MSD副社長執行役員オンコロジー部門統括で現在はアイネクス・シーアンドシー代表を務める新藤隆志氏は10月18日、MIフォース主催のWebセミナーで講演し、「MRの使命は情報の非対称性の解消が主な任務である」と強調した。こう発言する背景として、「薬事承認後、可能な限り早く必要な情報を医療者に周知することで、患者の機会損失を最小化する役割をMRは担う」と指摘。コロナ禍でMRと医師の面談機会が減少する一方で、抗悪性腫瘍剤の薬事承認が年々増加する現状を捉え、「情報量が増えて煩雑化、加速化する今のオンコロジー領域において、医師とMRのコミュニケーションの必要性が改めて問われていると」と強調した。

◎抗悪性腫瘍薬の承認数が3倍に 情報量増加で医師も「非常に困難な状況に」 

新藤氏は、2004年~2021年までの抗悪性腫瘍剤の国内薬事承認数について、「承認数だけで約3倍に増加した。とくに2018年以降は年間約40件以上の新薬が承認されている」と指摘。特に血液がんの承認数は抗悪性腫瘍薬の中で30~40%を占めているとして、「血液がんの専門医はこういった新薬を使って治療しており、1人でこれだけの情報を理解し、解釈して治療に活かさなければいけないという非常に困難な状況にあると思う」と強調した。

◎「まず医師と共通言語で話せるかということ」が重要だ

新藤氏はまた、「コロナ禍以降、医師との頻繁な面談機会が減少して、限られたリモート面談では予定された事案以外の情報交換とか会話がなされないということになるので、医療現場からの情報収集力も減少しているんじゃないかな、というふうに思っている」と述べ、改めてMRと医師とのコミュニケーションの重要性について言及した。その上で、オンコロジーMRによるコミュニケーションとして、「まず医師と共通言語で話せるかということ」と指摘。さらに、「医師の期待をMRがちゃんと理解しているか。MRが伝える事柄について医師が理解し、納得し、行動につながっているか」について理解する必要性を説いた。

◎福岡大・田村名誉教授「まず重要なのは相手より先に患者さんをよく知ること」

パネルディスカッションにはNPO臨床血液・腫瘍研究会理事長で福岡大学の田村和夫名誉教授が登壇した。オンコロジーMRのあるべき姿について田村名誉教授は、「まず重要なのは相手より先に患者さんをよく知ることだと思う」と強調。「患者や患者をサポートしている家族のケアがMRに見えていない。そこがMRの情報提供に対する一つの課題であろう」と指摘した。一方でMRは治療効果や有害事象などについて「よく勉強している」としながらも、臨床試験に登録した患者は「少なくとも標準治療に耐えられる集団」と述べ、実際の患者の75%が高齢者で、かつ合併症をもっていることなどを十分理解して情報提供すべきと強調した。

また記憶に残るオンコロジーMRについて田村名誉教授は、「医師の悩みを聞いて一度は持ち帰り、再度面会に来て自分なりの言葉で話ができるMRが何人かいた」と評価した。逆に「本社の学術担当の方にMRが(私たちの)その心をちゃんと伝えていなかったことがある。そういうのが問題になろうかと思うが、そこは修正していただければ良いかな」と苦言を呈する場面もあった。

◎昌原社長「患者さんは本当に劇的に良くなったよ」をモチベーションに 自己研鑽も

ディスカッションに参加したMIフォースの昌原清植社長は、自身ががん患者を経験した立場で発言。「優秀なMRの共通点は、やはり実際の臨床の現場で先生方から“情報があってよかった”、“患者さんは本当に劇的に良くなったよ”というような声を聞き、患者の健康に貢献できたというような思いに出会えたとき。MRはモチベーションが上がり、ますます自己研鑽を積むのではないか」と強調。「患者への貢献を意識するMR活動が重要なのかなというふうに思う」と述べた。
 
プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(30)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
ボタン追加
【MixOnline】記事ログ
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー