日本医師会の次期会長に立候補した松本吉郎・日本医師会常任理事(埼玉県)は6月5日、東京都内で選挙対策本部の事務所開きを行った。松本氏は、「会長一人が何とか力を持っていれば立ち行くというような時代ではなくなってきている。役員一丸となって、職員もしっかり協力し、さらに都道府県医師会、群市区医師会の先生方とも連携、協力しながら立ち向かっていかなければ、色々抱えている諸問題は解決できないし、国民にしっかり還元できないと強く思っている」と述べ、各地域医師会と一丸となった強い医師会を再構築することに意欲をみせた。同日は、横倉義武名誉会長も駆け付け、「大変な時期に大変な役をご決断されたこと、心から敬意を表する」と激励した。
◎28都府県医師会長ら約120人が駆け付ける
この日の選挙対策事務所開きには、28都府県医師会長ら約120人が激励に駆け付けた。東北、関東甲信越、東京、中部、近畿、九州の各医師会連合からは全会一致の推薦を得たほか、中国・四国ブロックについては1県を除く支持を固めている。横倉名誉会長のほか、日本医師連盟推薦の羽生田俊参院議員も激励に駆け付けた。
◎日本医師会の信頼回復へ「都道府県医師会、群市区医師会が日本医師会の礎」
支持者を前に松本候補は、「現在の日本医師会は、この2年間で全国の会員、医師、国民から少し信頼が揺るぎ始めたという想いを持っている。その想いは、むしろ先生方の中から湧き上がってきたことではないか。そういった想いが私共を後押ししていただいた。先生方のご支援、応援による賜物だと思っている」と話した。
そのうえで、「都道府県医師会、群市区医師会が、我々日本医師会にとって礎になるものだと思っている。色々な提言をいただき、問題点を出していただき、日本医師会でさらに検討し、対応する策を練って実行してく。それを厚労省や各市町村、国会議員の先生方と連携し、しっかりお話をするなかで対応策を取っていくことがいま、本当に求められているのではないかと強く思う」と表明。「そのためには、強固な団結力が必要になる。日本医師会が一つにまとまっているということを医師、会員の先生、国民にも見せなければならない選挙だと思っている」と全国一丸となる重要性を強調した。「頼りない会長かもしれないが、まだ発展途上で、しっかり皆様と勉強させていただきながら歩んで参りたいという決意を持っている」と決意を滲ませた。
「私をしっかり叱咤激励していただき、悪いところがあれば、どんどん言っていただく医師会にしたい。どうぞ私を一人にしないで、ぜひかわいがってください。厳しいことも必要だが、ユーモアや明るさも忘れない医師会にしていかなければいけない。会員と国民に愛され、支援され、理解いただけるような日本医師会にしていきたい」とも話した。
◎横倉名誉会長 「国民医療の向上のために」とエール
同日駆け付けた横倉名誉会長は、「日本医師会長になると一挙手一投足が見られるということで、私も8年余り緊張した日々を送っていた。緊張した日々を今から送られるのはご苦労なことだと思う」と労いをみせた。そのうえで、「素晴らしい選挙公約、政策をあげている。日本国民のために、国民医療が良くなるために我々は頑張っている。ぜひさらなる向上のために頑張ってください」とエールを送った。また、副会長候補3人に対しては、「全員でキャビネットなので、全員が力を合わせて動けるようにしていっていただきたい」とも話した。
◎キャビネットは常任理事に新人3人を擁立
松本氏は、「地域的にも日本全体からバランスが取れた方々が集まっていただいた。適材適所に担当を当てることができるという想いを強く持っている」とキャビネットを紹介。常任理事には3人の新人候補を擁立した。
副会長候補の茂松茂人氏(大阪府医師会長)は、「人と人をつなぐのは私の仕事だろうと思っている、困っているときは知恵を出し、何かあったときには知恵を出してという形で頑張っていきたい」と話し、「しっかり汗をかいていきたい」と意気込みをみせた。副会長候補の角田徹氏(東京都医師会副会長)は、「(東京都での)いままでの経験を活かし、会長、副会長、常任理事候補を支えながら、執行部として邁進したい」と話した。現日本医師会副会長の猪口雄二氏(東京都、全日本病院協会会長)は、「1期目は、政策を中心として病院団体との意見集約にも力を注いできた。新しい執行部になれば、松本先生を支え強い日本医師会に力を注いでいきたい」と意欲をみせた。
松本候補のキャビネットは以下の通り。(※は新人)
▽会長候補:松本吉郎氏(埼玉県)※
▽副会長候補:茂松茂人氏(大阪府)※、角田徹氏(東京都)※、猪口雄二氏(東京都)
▽常任理事候補:釜萢敏氏(群馬県)、城守国斗氏(京都府)、長島公之氏(栃木県)、江澤和彦氏(岡山県)、宮川政昭氏(神奈川県)、渡辺弘司氏(広島県)、神村裕子氏(山形県)、細川秀一氏(愛知県)※、今村英仁氏(鹿児島県)※、黒瀬巌氏(東京都)※
◎東京都医師会・尾﨑会長 現副会長の立候補は「残念」 「選挙では何も悩まなくていい」
東京都医師会の尾﨑治夫会長は挨拶のなかで、会長選の出馬を断念した中川俊男会長の言葉を引用し、「これは非常に重い判断、決断だと私は思っている」と述べた。そのうえで、現副会長である松原謙二氏、今村聡氏が出馬することについて、「日本医師会の中枢に10年以上、お二人ともおられて、いまの日本医師会の現状もわかっているはずだ。ここで団結しなければどうするんだという話で、私は本当に残念に思っている」と述べた。
そのうえで、「今回の代議員会では、皆さん何も悩まなくていいんです。このキャビネットを当選できるように、投票用紙に書いていただければ何の問題も起きません。そして一致団結して、きょうからは大変厳しい選挙戦が予定されている参議院の自見英子候補を我々の力で高位で当選させ、我々の力を政府あるいは官僚にわかってもらう。日医はそんな弱いものではない。ぜひ皆さんの力で、強く団結できることを見せられるよう、頑張っていきましょう」と呼びかけた。
◎会長に松原氏、副会長に今村氏が立候補
日本医師会は6月4日17時に、役員選挙の立候補を締め切った。会長には松本吉郎氏(埼玉県)と松原謙二氏(大阪府)が立候補。副会長(定数3人)は、猪口雄二氏(東京都)、角田徹氏(東京都)、茂松茂人氏(大阪府)のほか、現職の今村聡氏(東京都)が届け出た。常任理事には松本執行部の候補者10人のほか、玉元弘次氏(千葉県)が立候補を表明している。会長、副会長、常任理事ともに、6月25日の代議員会で投開票が予定される。