政府 新しい資本主義・実行計画案 バイオ分野に重点投資「製薬を成長産業に」 医療DX推進本部設置へ
公開日時 2022/06/01 04:50
政府の新しい資本主義実現会議は5月31日、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画案」を公表した。重点投資分野の一つにバイオテクノロジーをあげ、治療薬・ワクチン開発で「製薬を成長産業とすべく取り組みを進める」と明記した。一方、バイオやIT分野のスタートアップ企業に対しては、オープンイノベーションの起爆剤となるべく税制上の優遇策やルールの見直しに着手する。DX投資では、岸田首相を本部長とする「医療DX推進本部(仮称)」を設置すると提言した。
新しい資本主義実現は岸田内閣にとって肝いりの政策。成長と分配の好循環を実現するための実行計画案がまとまった。製薬・医療分野を見ると、米国や中国に比べて投資が脆弱で、かつ国際的に投資競争が激化している「バイオテクノロジー」への重点投資の必要性を強調している。具体的には、この分野でオープンイノベーションを加速させ、研究開発投資全体を押し上げられるよう、民間企業やベンチャー・スタートアップ企業への税制上の措置などを視野に入れた。
◎再生・細胞医療、遺伝子治療 一体的な研究開発や臨床研究拠点を整備
一方でバイオ分野における施策では、再生・細胞医療、遺伝子治療への重点化を掲げ、一体的な研究開発や臨床研究拠点の整備を政府として推し進める方針を明示した。さらに、製薬産業への期待として、治療薬やワクチン開発を支援する。実行計画案では、「世界的に医薬品市場が成長を続ける中、我が国においても、製薬を成長産業とすべく取り組みを進める」と表明。新型コロナの経験を踏まえ、治療薬やワクチン開発を政府として支援する考えを刻んだ。
◎医療DX投資 全国医療情報プラットフォームの創設、電子カルテ情報の標準化
医療DXへの投資では、「全国医療情報プラットフォームの創設、電子カルテ情報の標準化等および診療報酬改定に関するDXの取り組みを行政と関係業界が一丸となって進める」と提言。政府に「医療DX推進本部(仮称)」を設置する方針を盛り込んだ。さらにデジタルヘルスの普及については、「承認アプリを活用した際の診療報酬上の加算を行う」とし、加えてヘルスケア製品・サービスについて、自主的な認証制度の実施を支援する方針も明示した。
このほかマイナンバーカードについて、健康保険証としての利用や運転免許証との一体化、スマートフォンへの機能搭載等により、国民の利便性の向上を図る。同時に国際標準のセキュリティ認証を取得したシステム面でのセキュリティ対策の安全性やメリットの周知を通じて、その普及を加速するとした。
◎経済安全保障 医薬品など重要物資の安定供給を早急に確保 中長期的な支援措置も
個別分野では、経済安全保障の強化として、医薬品など重要な物資の安定供給を早急に確保するため、サプライチェーン上の供給途絶リスクを将来も見据えて分析した上で、中長期的な支援措置を整備するとした。