明治HD・21年度 医薬品セグメントの営業利益2%減 コロナワクチンの受託収入計上も薬価改定等の影響大きく
公開日時 2022/05/13 04:50
明治ホールディングスは5月12日、2022年3月期(21年度)の医薬品セグメントの売上が1879億円(前年度比2.9%減)、営業利益は186億円(同2.3%減)だったと発表した。新会計基準の影響を除いた場合、売上は3.2%の増収となる。明治グループのKMバイオロジクスやMeiji Seika ファルマが、アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチン「バキスゼブリア筋注」の国内での製剤化や、保管・配送・安全性情報の収集業務を受託し、この受託収入が売上や利益に貢献。一方で、薬価改定影響や研究開発費の増加などにより、営業減益となった。
◎国内医薬品事業は増収、2ケタ減益
医薬品セグメントの事業別の業績は、旧会計基準ベースで、国内医薬品事業は売上975億円(同6.8%増)、営業利益36億円(同34.3%減)――、ヒト用ワクチン事業は売上447億円(同2.4%減)、営業利益114億円(同18.0%増)――だった。
国内医薬品事業の売上には、バキスゼブリアの保管・配送・安全性情報の収集業務の受託収入が含まれるが、具体的な金額は非開示。ほかの増収要因は、▽コロナ禍による受診控えが大きく起こった前年度(20年度)に比べて患者が戻った▽前年度に受診控えの影響が大きく出た抗菌薬は大幅増収となった▽新型コロナウイルス抗原検査キットも好調だった――などとなる。
製品別の売上も非開示だが、Meiji Seika広報グループによると、抗菌薬メイアクト(後発品含む)は15%増、抗アレルギー薬ビラノアは1%増、統合失調症薬シクレストは2%増、抗うつ薬リフレックスは8%減だった。
後発品事業の売上はMeiji Seikaファルマが5%減、Meファルマは「2ケタ増収」とのこと。Meiji Seika広報グループは、Meファルマが好調だった理由について、「低価格薬剤のニーズの高さに加え、品質保証体制や安定供給体制で信頼が増したことも追い風になった」との見方を示した。
国内医薬品事業の営業利益の大幅減益は、6%台の薬価改定影響(50億円減)や研究開発費の増加が主因となる。なお、コスト構造改革の一環として営業拠点の再編や効率化を継続的に実施しており、20年9月末まで12支店体制だったものが現在は8支店体制となり、支店や営業所のスペースの縮小も随時検討・実施している。
◎ヒト用ワクチン事業 バキスゼブリア製剤化の受託収入やコスト低減で大幅増益
ヒト用ワクチン事業の減収は、B型肝炎ワクチン「ビームゲン」の減収やプレパンデミックインフルエンザワクチンの受託製造がなかったことが主な理由となる。その一方で、インフルエンザワクチンは例年通り1000万本超の数量を出荷するなど好調だった。バキスゼブリアの製剤化に関する受託収入もあった。営業増益は、バキスゼブリア製剤化に関する受託収入やコスト低減などによるものとなる。
◎22年度予想 国内医薬品事業は増収増益を計画 ビラノアで19%増収目指す
22年度計画は、「医薬品セグメント」として売上1960億円(同4.3%増)、営業利益185億円(同0.8%減)と設定した。事業別では、国内医薬品事業が売上962億円(同6.0%増)、営業利益80億円(同117.5%増)――、ヒト用ワクチン事業が売上412億円(同3.6%減)、営業利益58億円(同49.3%減)――とした。
国内医薬品事業は、22年4月に6%台の薬価改定影響を受けたが、増収増益の計画を立てた。これは、ビラノアの売上を19%増、メイアクト(後発品含む)は8%増、シクレストは3%増――を達成し、後発品事業も伸ばすほか、▽バキスゼブリアの安全性情報の収集業務の受託収入▽安定確保医薬品の薬価下支えによる売上・利益への貢献▽コスト構造改革▽開発中の新型コロナ不活化ワクチンの年度内の実用化――などを積み上げて実現するとしている。
ヒト用ワクチン事業は、前年度(21年度)のバキスゼブリアの製剤化に係る受託収入の反動などで減収減益になる見通しだとしている。