日本光電 商取引で不正行為 元社員を懲戒解雇 余った物品の転売で約4000万円を不正取得
公開日時 2021/11/05 04:50
日本光電は11月4日、元社員が携わった商取引で不正行為が判明し、懲戒解雇処分にしたと発表した。元社員は、自身の関わった商取引において、医用電子機器やシステムを納品する際に必要なネットワーク機器などを「必要以上」に調達した上で、正規に納品する以外の余った物品を個人的に転売し、約4000万円相当の物品を不正に取得していた。同社は、元社員の刑事告訴を視野に警察への相談を進めている。
◎PCとLANで接続するネットワーク機器などを「必要以上」に調達
事件は9月中旬に社内で発覚。その後、社内調査委員会を立ち上げ、全容解明に向けた調査を行った。社内調査で判明した事実は、元社員が携わった商取引において、同社の製品とPCとをLANで接続するためのネットワーク機器などを「必要以上」に調達し、本来納品すべきもの以外の余った物品を個人的に転売するなどして不正に金銭を取得し、同社に損害を与えたというもの。社内調査で総額4000万円相当の物品を元社員が不正に取得していたことを確認している。
同社によると、「金銭的被害の大半は日本光電に発生している」としながら、「一部のお客様には被害が及んでいますので、お詫びをして当社が弁済させて頂きます」とコメントした。今後については、「詳細な事実関係の確認と原因究明を行い、再発防止策を実施する」とした。
◎中期経営計画に「コンプライアンス徹底とグループガバナンス強化」を明記した矢先
同社は、今年1月に三重大学医学部附属病院の生体情報モニタ商談に関連した贈賄の疑いで社員3人が津地方検察庁より起訴されたことを重くみて、3月に発表した3か年中期経営計画「BEACON 2030 Phase Ⅰ」に、「コンプライアンスの徹底とグループガバナンスの一層の強化を図る」との方針を明示していた。その後、三重大学の事件は、津地裁が社員3人に有罪判決を言い渡している。同社は、この事件に関わった社員3人を懲戒解雇とした。
その矢先に起きた今回の事件。同社は、「当社グループ全体で、コンプライアンスの徹底とグループガバナンスの一層の強化に取り組んでいるなか、このような事態が生じたことは誠に遺憾です。お客様、お取引先様、株主の皆様、ならびに関係するすべての方々に、多大なご迷惑とご心配をおかけしますことを心よりお詫び申し上げます」と謝罪した。