われわれは、みな、生存競争を生き抜いた偉大な同志だ
公開日時 2021/10/21 00:00
情熱的読書人間榎戸誠【初めての本】『WHATISLIFE?生命とは何か』(ポール・ナース著、竹内薫訳、ダイヤモンド社)は、かつての科学少年・昆虫少年が興味を持ち続け、ノーベル生理学・医学賞を受賞するに至ったポール・ナースが、初めて著した本である。【共通の仕組み】訳者の竹内薫によれば、ポール・ナースは、「生殖」と細胞レヴェルの「分裂」を生命の本質と捉えており、そのメカニズムの解明に生涯を懸けた。彼がcdc2と名づけた遺伝子の情報(=コード)がタンパク質キナーゼという酵素を作る。この酵素は、サイクリンというタンパク質と一緒になって、細胞周期を進行させるのだ。分裂酵母という、ビールを作ってくれるちっちゃな生き物の細胞周期の仕組みが、人間も含めた「生き物」全てに共通しているということに驚かされる。「...