ロート製薬 他家間葉系幹細胞 新型コロナ重症肺炎患者対象にフェーズ2開始
公開日時 2021/06/16 04:50
ロート製薬は6月15日、新型コロナウイルス感染症重症肺炎症患者を対象とした他家間葉系幹細胞を用いた再生医療等製品ADR-001の第2相臨床試験を開始したと発表した。有効性を主要評価項目に据え、ランダム化プラセボ対照二重盲検群間比較試験として実施する。組み入れ予定症例数は20例で、治験実施期間は2021年6月から22年9月まで。
これまでの報告から、新型コロナウイルス陽性者のうち、2割が重症化することが指摘されている。重症化には、サイトカインが制御不能となって放出され続ける「サイトカインストーム」がかかわっていることが指摘されている。間葉系幹細胞は、複数のメカニズムによる抗炎症効果があると言われており、これまでの治療法で奏功しない患者への効果が期待されている。
ADR-001は、他家脂肪組織由来幹細胞を構成細胞とする細胞製剤。脂肪組織は組織中に多くの間葉系幹細胞を含み、採取時の侵襲性が比較的低い。手術時など余剰組織となるケースもあることから、比較的入手が容易で、他家脂肪細胞による移植のため、必要な患者に迅速に提供できるなどのメリットがあるとしている。動物由来原料を含有せず、動物由来のウイルス感染リスクも低減している。同剤をめぐっては、肝硬変患者を対象に第1/2相臨床試験が先行して実施されている状況にある。