武田薬品、富士通、国がん 卵巣がん患者のペイシェントジャーニーの分析・可視化で共同研究スタート
公開日時 2021/05/18 04:50
武田薬品、富士通、国立研究開発法人国立がん研究センターは5月17日、卵巣がん患者のペイシェントジャーニーの分析・可視化に関する共同研究契約を締結したと発表した。国立がん研究センター東病院の電子カルテ上に蓄積された卵巣がん患者の診療データと医事会計システム内の診療報酬データを匿名化し、ICT で分析・可視化することにより、卵巣がん患者を取り巻く実臨床上の課題を抽出する。武田薬品は今回の共同研究を通じ〝価値に基づく医療(バリューベースヘルスケア)̋の実現に向けたソリューション開発にもつなげたい考え。
◎国がん東病院にある約700人の電子カルテデータを活用
対象となるデータは、2013年5月から20年10月までに国立がん研究センター東病院の電子カルテシステム上に蓄積された卵巣がん患者約700人の診療データを用いる。さらに、医事会計システム内の診療報酬データも活用する。これまでの臨床試験や診療報酬明細書(レセプト)データの活用では取得困難だった患者のペイシェントジャーニーに関する情報を分析・可視化する。
このうち富士通は、現在開発中の医療データを安全・安心に利活用するためのプラットフォームをはじめとする ICT を用いた診療データの分析支援を行う。一方、武田薬品は、ペイシェントジャーニーの分析対象データの選定および分析計画の立案を行う。さらに国立がん研究センターはペイシェントジャーニーの分析に必要となる匿名化された診療データおよび医学的知見が提供される。
◎武田・堀井事業部長「新たな価値提供で優れたパートナーに」
武田薬品の日本オンコロジー事業部の堀井貴史事業部長は、「がん患者を取り巻く医療課題に目を向け、業界の垣根を超えた協業・連携を通じて患者さんとその家族、医療関係者の皆さまに新たな価値を提供できる優れたパートナーとなることが重要であると考えている」と強調した。富士通のソーシャルデザイン事業本部の有山俊朗本部長は、「今回の共同研究によって、リアルワールドデータを安心・安全に活用する技術を社会実装することで、患者に寄り添った治療の開発や重症化予防に貢献することを目指したい」と語った。なお、共同研究は、国立がん研究センター東病院、先端医療開発センターにおいて22年4月30日まで実施する予定。