諮問会議・民間議員 かかりつけ医機能を制度化 革新的医薬品の評価再検証、既収載品の給付範囲見直し
公開日時 2021/04/27 04:51
政府の経済財政諮問会議(議長・菅義偉首相)の民間議員は4月26日、社会保障分野に関する当面の重点課題を提示した。新型コロナの緊急時対応では、「民間病院を含めて緊急時に必要な医療資源を動員できる制度的仕組みの構築」を求めた。一方で平時の構造改革では、診療報酬のインセンティブの強化等で医療機関の機能分化や統合を推進するほか、「かかりつけ医機能を制度化」し、コロナ対応やオンライン診療などを包括的に提供できる体制の整備を求めた。薬価については、「革新的な医薬品の評価のあり方を再検証」する。一方、そうでない医薬品の評価の適正化や既収載品の保険給付範囲の見直しを実施すべきと提言した。
この日の諮問会議で民間議員は「社会保障改革~新型感染症を踏まえた当面の重点課題」と題する資料を提出した。それによると民間議員は、「新型感染症で明らかとなった課題を踏まえ、社会保障改革にメリハリをつけて取り組む必要がある」と指摘。さらに「医療は逼迫しており、医療資源の量的な問題以上に資源配分に問題があることは明らか」として、「医療提供体制の見直しやリアルタイムで現状や課題を把握できる体制の強化は急務である」との見解を示した。
◎緊急時は民間病院を含めた医療資源の動員を
新型コロナの感染拡大など緊急時対応の強化では、感染拡大の兆しがある都道府県の病床確保を求めたほか、「当該地域への医療従事者を含めたワクチンの重点接種や医学生等による臨時的な接種を検討すべき」と強調した。また、「国公立病院だけでなく、民間病院を含めて緊急時に必要な医療資源を動員できる仕組みや都道府県を超えて患者の受入を迅速かつ柔軟に調整する仕組みを早急に構築すべき」と提案。新型感染症患者の受入れ病院の診療報酬による減収分の補填と合わせ、受入病院の指定など民間病院に対する都道府県知事の権限や手段を強化すべきとした。
◎オンライン診療で医療アクセスを確保、レセプト等で医療データをリアルタイムに把握
一方で平時の構造改革の推進では、医療機関の機能分化や統合を促すため、「診療報酬のインセンティブの強化やかかりつけ医機能の制度化を進めるべき」と強調。かかりつけ医は感染症への対応、予防・健康づくり、オンライン診療、受診行動の適正化、介護施設との連携や在宅医療など、地域の医療を多面的に支える役割を果たすべきと指摘した。とくに、オンライン診療の徹底活用を要請した。さらに、レセプトや医療法人の事業報告書等の「データの迅速な活用は急務である」とし、「それらを用いて新型感染症による医療提供体制や医療機関への影響等を早期に分析できる体制を構築し、医療機関への効果的な支援等に活用すべき」と強調。デジタル庁において、レセプトシステムや COCOA、G-MISなどを抜本的に見直す。その上で、医療・介護データを必要に応じて連携でき、リアルタイムで分析できる体制を早急に構築すべきとした。
◎創薬力強化の観点で「革新的医薬品の評価のあり方を再検証」 リフィル処方せん解禁も
現役世代の負担の軽減に向けた当面の重点課題では、医薬品に言及。創薬力強化等の観点から「革新的な医薬品の評価のあり方を再検証する一方、そうでない医薬品の評価の適正化や既収載の医薬品の保険給付範囲の見直しを実施すべき」と明記した。後発医薬品の目標を早期に設定し、使用促進のための強力な追加措置を講じるべきとの見解も盛り込んでいる。さらに、リフィル処方せんを解禁し、患者の通院負担を軽減するとともに、新型感染症の下でも安心して服用継続できるようにすべきとも提言した。