武田薬品 エムスリーと遺伝性血管性浮腫(HAE)の疾患啓発サービスを共同開発 早期診断を支援
公開日時 2021/04/14 04:51
武田薬品は4月13日、エムスリーと共同で遺伝性血管性浮腫(HAE)の疾患啓発サービスを開発したと発表した。エムスリーが運営する「AskDoctors」上で、一般の方がHAE の可能性に気づき、医師に相談できる。具体的には、HAEが疑われる症状を入力すると、武田薬品の疾患啓発サイト「腫れ・腹痛ナビ」に掲載した腫れ・痛みチェックシートがサイト上に表示され、これに回答することでHAEの可能性に患者自身が気づく。また、医師はチェックシートの結果も参考にしながら疑い患者の相談に回答できる。両社は、こうしたプラットフォームを活用することで、HAEの早期診断に結びつくプラットフォームを実現したい考え。
◎診断率向上を目的とした「エコシステムの形成・改善」の一環
HAEは、は腹部、顔面、足、性器、手、喉など、身体のさまざまな場所に繰り返し浮腫発作を引き起こす希少な遺伝性疾患。日本には2000~3000人の患者が存在すると推定されている。ただ、認知度の低さから診断されている患者は約 450人にとどまっている。武田薬品は、シャイアー統合に伴う「レアディジーズビジネスユニット」新設の際に、HAEのような希少疾患の診断率を1%でも向上すべく、エコシステムの形成・改善に取り組む姿勢を打ち出していた。
◎セルフスクリーニングでHAEの可能性に気づきを
AskDoctorsを活用した今回のプラットフォームでは、自覚症状のある患者がセルフスクリーニングを行うことで、HAEの可能性に気づき、医師に相談するという疾患啓発から診断促進までのスキームを想定したもの。AskDoctorsは、医療相談や250万件におよぶQ&Aなどビッグデータが集積されており、月間の利用者数も600万人に達する。これにより、これまでも様々な疾患の疑い患者に対し、診断示唆を一貫して実現してきた実績がある。
武田薬品は今回の取り組みを通じ、「希少疾患を取り巻くエコシステムの形成・改善を通じて、患者とその家族に価値提供できる優れたパートナーとなることが重要であると考えており、他企業とのパートナーシップを用いて、さまざまな希少疾患の患者さんの健康に貢献していきたいと考えている」とコメント。一方、エムスリーは、「製薬企業と共にグループの持つサービスを組合せ、より大きな疾患課題を解決する“7Pプロジェクト”を推進したい。今後も、製薬企業と積極的に共同した医療業界への価値提供を進めたい」と意欲を示した。
◎エクスメディオと共同でHAEの早期診断サポート「希少疾患発見パッケージ」を開発
武田薬品はまた、エクスメディオと共同で、同社が提供する医療者向け臨床課題解決サービス「ヒポクラ×マイナビ」において、HAEの早期診断をサポートする「希少疾患発見パッケージ」を開発したと発表した。自然言語解析により、希少疾患の疑いを確度高く発見する希少疾患向け「AI チェッカー」と、匿名で専門医に診断・治療のアドバイスを受けられる「コンサルト」の各機能から構成され、希少疾患領域における早期診断をサポートする。