米・アムジェン 米・バイオ企業を19億ドルで買収 胃がんなどオンコロジー領域を強化
公開日時 2021/03/18 04:50
米・アムジェンは3月17日までに、オンコロジー領域に強みを有する米・Five Prime Therapeutics社を19億ドル(約2080億円)で買収すると発表した。Five Prime Therapeutics社は、抗FGFR2b抗体として、胃がん治療薬のファースト・イン・クラスとして第3相臨床試験が予定されているbemarituzumabを有している。胃がんは日本を含むアジア太平洋地域で発生率が高いことが報告されており、アムジェンは、日本および他のアジア太平洋市場における同社のプレゼンスを活用して、bemarituzumabの潜在的な可能性を最大化する予定としている。
bemarituzumabは、線維芽細胞増殖因子(FGF)のFGFR2bへの結合および活性化を阻害するファースト・イン・クラスの標的抗体。進行胃がんまたは胃食道接合部(GEJ)がん患者の一次治療において、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)および全奏効率(ORR)における臨床的に意義のある改善が示されたという。現在、第3相臨床試験の実施が計画されている。なお、FGFR2bは非HER2陽性胃がん患者の約30%およびその他の固形がん患者で過剰発現が認められている。また、胃がんだけでなく、肺がん、乳がん、卵巣がんおよびその他のがんを含む他の多くのがんにおいても過剰発現していることが知られている。
同剤をめぐっては、中国本土での開発・商業化に向けてZai Lab社に独占ライセンスを付与しており、Zai Lab社は中国本土で臨床第2相試験をFive Prime Therapeutics社と共同で試験を実施している。このため、中国本土における将来の正味売上高に対し、Five Prime Therapeutics社とZai Lab(上海)社との既存の共同開発・商業化契約に基づき、アムジェンは10%台前半から20%台後半のロイヤルティを受け取るとしている。
発表は、3月4日付。アムジェン社がFive Prime Therapeutics社を一株あたり38.00ドルの現金で取得する株式公開買い付けを開始する。手続きは、第2四半期末までに完了する見通し。
アムジェンのRobert A. Bradway会長兼最高経営責任者は、「胃がん治療のための有望な、後期かつファースト・イン・クラスのグローバル・アセットを用いて、オンコロジー・ポートフォリオを強化するための有力な機会を得ることができる」と買収の意義を強調している。