自民党「製薬産業に関する勉強会」 21年度の中間年改定「見送り」含め提言へ
公開日時 2020/11/27 04:50
自民党議員と製薬企業の有志で構成する「製薬産業政策に関する勉強会」(衛藤晟一会長)は11月26日、会合を開き、薬価中間年改定と研究開発税制について、日本製薬工業協会(製薬協)から意見を聞いた。製薬協の中山讓治会長(第一三共顧問)は、毎年薬価改定(薬価中間年改定)の導入により、「これ以上の国内医薬品市場の縮小は、ドラッグラグと医薬品産業の空洞化を招きかねず、慎重な検討をお願いしたい」と訴えた。勉強会では、業界の意見を踏まえ、2021年度薬価改定の「見送り」を盛り込むことを視野に近く提言を取りまとめる。党内調整を経て政府との協議に臨む考えだ。
◎平時の環境下で実施を 新型コロナの価格交渉への影響を指摘
提言案では、新型コロナウイルス感染症の影響により、医療機関・薬局との価格交渉が平時とは大きく異なる状況だったと指摘し、中間年改定は「平時の環境下」で実施することを求めている。薬価調査の価格交渉が遅れたほか、医療機関の経営悪化で過度な値引きの要請などがあったとした。こうしたなかで、実施された薬価調査については、医薬品の価値を適切に反映した取引価格と乖離している可能性があるとして、改定の根拠として疑問を投げかけている。
前日の中医協で薬価専門部会では製薬業界が中間年改定の対象範囲について、「乖離率が著しく大きい品目」と発言したことで、事実上2021年度改定は避けられないとの見方も出ている。財務省の財政制度等審議会が11月25日に取りまとめた建議では、「全品改定を実施することとし、初年度にふさわしい改定を実現すべき」としている。これに対して警戒感を示す声も業界内には多く、対象範囲をめぐる議論も加速することとなりそうだ。
◎研究開発税制「患者さんが待ち望む新薬を生み出し、経済成長に貢献」の後押しを
この日の勉強会で製薬協の中山会長は、①毎年薬価改定、②研究開発税制の維持・拡充―について要望した。研究開発税制については、「患者さんが待ち望む新薬を生み出し、我が国の経済成長にも貢献する製薬産業を、研究開発税制で後押ししていただきたい」と訴えた。
具体的には総額型について、▽控除上限の上乗せ措置の控除上限(法人税額の10%)と層が宅型の控除上限(同25%)を合算した控除上限(同35%)の引上げ、▽時限措置である総額型の控除率(10%超から14%)の延長・拡充、▽時限措置である総額型の追加控除率の延長・拡充―を要望した。一方、オープンイノベーション(OI)型については、手続き要件のさらなる緩和を求めた。