WHO 新型コロナ治療薬・レムデシビル「入院患者への投与を推奨しない」 米ギリアドは反論のコメント発表
公開日時 2020/11/22 04:50
世界保健機関(WHO)は11月20日、新型コロナ治療薬・レムデシビル(製品名:ベクルリー)について、「入院患者の生存率やその他の転帰を改善するというエビデンスが存在しない」として、入院患者への投与を推奨しないと、ガイドラインに盛り込んだ。これに対して米ギリアド・サイエンシズは、これに反論するステートメントを発表。「有効性・安全性を評価する“ゴールドスタンダード”であるランダム化二重盲検プラセボ対照臨床試験を含む3つのランダム化比較臨床試験で有効性が実証されている」などと反発した。
WHOは、レムデシビルに関する4つの臨床試験、7000人以上のデータを解析したところ、死亡率や人工呼吸器の必要性、臨床的改善までの期間などに「重要な影響がない」ことを示唆したとしている。それにより、重症度によらず、同剤の入院患者への投与は推奨しないと結論付けている。
◎米ギリアド NEJMの論文を引き合いにエビデンスを強調
一方、米ギリアド側は即座に反論する。米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のACTT-1試験で、レムデシビルの投与により、プラセボに比べ、5日間早く回復したとのデータを説明。ピアレビューされ、「New England Journal of Medicine」に論文が掲載されているとして、エビデンスがあることを強調した。また、この結果に基づき、複数の治療ガイドラインで推奨されているとした。
WHOの見解については、「WHO主導の連帯試験データのデータに依存している」と指摘。同社らが実施した臨床試験などについては、「主要なデータは入手できず、ピアレビューもされていない」と反発した。そのうえで、WHO主導の試験結果はこれまでの臨床試験結果と「一致していない」としている。
◎限られた医療機関のリソース活用に貢献 エビデンス軽視は「残念」とコメント
そのうえで、「日本や英国、ドイツなど、多くの信頼できる国内組織のガイドラインで、COVID-19による入院患者の治療の標準治療として認められている」と説明。入院期間の短縮により、限られた医療機関のリソースの有効活用などに貢献しているとして、「WHOがこれらのエビデンスを無視しているように見えるのは残念だ」としている。